今何時だろう? ぼんやりと目を覚ますと、まぶたがズキズキしていて──ああ、やっぱり腫れてる。
昨夜、あれだけ泣いたら当然か。目だけじゃない、頭まで痛い。ほんと、情けないったらない。……、泣いて解決するなら、最初から苦労してないよ。
「ったく……。泣きすぎて、ブスになったかも」
そう毒づきながら、キッチンでジップロックに氷を詰め、キッチンタオルで包んでソファにごろんと横になる。目の上にタオルと氷袋を交互にのせて、冷やしながら深呼吸。
アメリカにいた頃、葉子と一緒にニ日酔いの朝にこうやって冷やしてたっけ。あの頃は、もう少し気楽に生きてたな。
気づけば、また少し寝てしまっていたらしい。腫れは少し引いていて、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、一気に飲み干す。喉がカラカラに乾いていた。
時計はまだ7時。せっかく休みを取ったのに……、体はいつも通りに目を覚ましてしまうんだから、損な性分。
今日は、実家へ行こうと思っている。
もう大和との結婚は……、完全になくなった。ちゃんと両親に伝えなきゃいけないとは思ってる。でも、面と向かって話すのは正直気が重い。
特に母さま。どうせまた『だから言わんこっちゃない』とか、説教モードになるんだろうな……。心配より先に怒られるとか、子どもじゃないんだから。
だったら、母さまがクリニックで仕事をしている間に実家へ寄って、
キッチンのテーブルに手紙を置いてくる、くらいがちょうどいいのかも。
……、こんな形になってしまって、ごめんなさい。
父さまと母さまは、大和のことをすごく気に入ってた。烏丸家が婿入りしてくれるって話をした時は、あの厳しい父さまですら喜んでくれてたのに。
それを、私が全部ぶち壊した。バカみたい。自分の気持ちも、相手の想いも、ちゃんと見つめずに突っ走って……。こんな私、母さまじゃなくても怒りたくなる。
「はぁ……」
ふぅ、と息を吐いて天井を見上げる。
会社のことも、ちゃんと話しておくべきだろう。葉子は私がリモートで仕事できるように考えてくれてるけど。正直、もう会社に顔を出す気力もない。
あの大家族の集まりにも……、これから参加する自信がない。気を遣うのも、気を張るのも、もう疲れた。
たぶん、日本にいるより、海外に出た方が気が楽かもしれない。だったら、私はCool Beautyを離れるべきなんだろう。
幸い、葉子がいてくれる。
……、任せても大丈夫。ううん、むしろ、もう頼ってしまいたい。
でも、こうやって弱音吐いてる自分、ほんとムカつく。
「何泣いてんだか……。いい加減にしなさいよ、花村圭衣」
唇をきゅっと結び、思わず自分に言い聞かせる。
シャワーを浴びて、気分を切り替えよう。
今の私は、まだ逃げてるだけ。ちゃんとケリをつけなきゃ。自分の気持ちにも──大和にも。
昨夜、あれだけ泣いたら当然か。目だけじゃない、頭まで痛い。ほんと、情けないったらない。……、泣いて解決するなら、最初から苦労してないよ。
「ったく……。泣きすぎて、ブスになったかも」
そう毒づきながら、キッチンでジップロックに氷を詰め、キッチンタオルで包んでソファにごろんと横になる。目の上にタオルと氷袋を交互にのせて、冷やしながら深呼吸。
アメリカにいた頃、葉子と一緒にニ日酔いの朝にこうやって冷やしてたっけ。あの頃は、もう少し気楽に生きてたな。
気づけば、また少し寝てしまっていたらしい。腫れは少し引いていて、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、一気に飲み干す。喉がカラカラに乾いていた。
時計はまだ7時。せっかく休みを取ったのに……、体はいつも通りに目を覚ましてしまうんだから、損な性分。
今日は、実家へ行こうと思っている。
もう大和との結婚は……、完全になくなった。ちゃんと両親に伝えなきゃいけないとは思ってる。でも、面と向かって話すのは正直気が重い。
特に母さま。どうせまた『だから言わんこっちゃない』とか、説教モードになるんだろうな……。心配より先に怒られるとか、子どもじゃないんだから。
だったら、母さまがクリニックで仕事をしている間に実家へ寄って、
キッチンのテーブルに手紙を置いてくる、くらいがちょうどいいのかも。
……、こんな形になってしまって、ごめんなさい。
父さまと母さまは、大和のことをすごく気に入ってた。烏丸家が婿入りしてくれるって話をした時は、あの厳しい父さまですら喜んでくれてたのに。
それを、私が全部ぶち壊した。バカみたい。自分の気持ちも、相手の想いも、ちゃんと見つめずに突っ走って……。こんな私、母さまじゃなくても怒りたくなる。
「はぁ……」
ふぅ、と息を吐いて天井を見上げる。
会社のことも、ちゃんと話しておくべきだろう。葉子は私がリモートで仕事できるように考えてくれてるけど。正直、もう会社に顔を出す気力もない。
あの大家族の集まりにも……、これから参加する自信がない。気を遣うのも、気を張るのも、もう疲れた。
たぶん、日本にいるより、海外に出た方が気が楽かもしれない。だったら、私はCool Beautyを離れるべきなんだろう。
幸い、葉子がいてくれる。
……、任せても大丈夫。ううん、むしろ、もう頼ってしまいたい。
でも、こうやって弱音吐いてる自分、ほんとムカつく。
「何泣いてんだか……。いい加減にしなさいよ、花村圭衣」
唇をきゅっと結び、思わず自分に言い聞かせる。
シャワーを浴びて、気分を切り替えよう。
今の私は、まだ逃げてるだけ。ちゃんとケリをつけなきゃ。自分の気持ちにも──大和にも。



