婿入り希望の御曹司様とCool Beautyな彼女の結婚攻防戦〜長女圭衣の誰にも言えない3つの秘密〜花村三姉妹 圭衣と大和の物語

「け、圭衣ちゃん、お願いだから僕の話を」


彼女の言葉は、静かに、でも確実に胸を刺した。


「今さら話すことはないから。あなたがそうしたの。私の鍵をこのテーブルに置いて、早く出て行って」


そうだった。全部、自分が招いたことだった。あの夜、怒りのままに言葉をぶつけて、彼女の声すら聞かずに出ていったのは、僕の方だ。名前を呼ぶ圭衣ちゃんの声は、今も耳に残ってる。あれは悲鳴だった。


それなのに僕は、背中を向けた。その後も、かかってきた電話も、届いたメッセージも、すべて無視した。


彼女の安全を最優先にしたつもりだった。キラリの件が完全に片付くまで、何も言わずに距離を取ろうって。


でも、そんな独りよがりな正義が、どれだけ彼女を不安にさせたのか。わかっていたはずなのに、見ないふりをしてた。


彼女の差し出したカードキー。わずかに震えるその手を見て、胸が締めつけられる。
彼女も……ずっと、ひとりで傷ついてたんだ。


なのに僕は、今日、夕飯を作って、笑って『おかえり』なんて言ってまるで何もなかったみたいに、優しい時間に戻れる気でいた。


愚かだ。


何もわかってなかったのは、僕の方だ。彼女の背中が仕事部屋の奥へ消えていく。あの日の僕と同じように、扉を閉ざして。


もう遅いのかもしれない。大切にしたかった人を、自分の手で、こんな形で手放すなんて。