婿入り希望の御曹司様とCool Beautyな彼女の結婚攻防戦〜長女圭衣の誰にも言えない3つの秘密〜花村三姉妹 圭衣と大和の物語

仕事部屋へ向かい、扉を乱暴に閉めた私は、内側から鍵をかけて、そのままドアにもたれかかった。


言いたいことは言った。もう、終わり。


……、なのに、胸の奥がざわつく。ぐらりと足元が揺らいで、気づけば私はその場にしゃがみ込んでいた。


「……、もう知らない」


吐き捨てるように言った声が、妙にかすれて聞こえた。


泣くなんて、絶対にしたくなかった。あいつの前でなんて、もっとイヤだったのに。


なのに……、なぜ、こんなにも苦しいんだろう。


「私は……、間違ってない。私は、間違ってない……、よね……?」


繰り返せば繰り返すほど、胸がぎゅうっと締めつけられていく。涙が、ぽたりぽたりと床を濡らしていくのを止められない。


声を殺すのが精一杯だった。泣いていることを、絶対に知られたくなくて。


でも心の奥底で、誰よりも──
『行かないで』って、叫んでる自分がいる。