婿入り希望の御曹司様とCool Beautyな彼女の結婚攻防戦〜長女圭衣の誰にも言えない3つの秘密〜花村三姉妹 圭衣と大和の物語

父から渡されたキラリの個人情報ファイルを一通り読み終えたとき、正直「なんてことのない、どこにでもいる普通の女性だ」と思った。


けれど、それが油断につながった。


念のため父に電話で報告すると、意外なほど強い口調で警告された。


「しばらくの間、圭衣ちゃんとは接触するな。お前自身も目立つ行動は避けろ」


どうやら父は、このファイルの内容にどこか引っかかるものがあるらしく、さらに自分で調査を進めるつもりだという。


キラリの件については、圭衣ちゃんの父親であるジョセフさんにも伝えておく必要があると判断し、その連絡も父が入れてくれることになった。

　
……、これじゃあ、圭衣ちゃんにメッセージを送ることすらできない。


ようやく自分の中の怒りが静まり、ちゃんと彼女と向き合おうと思っていた矢先だったのに。


全部、自分の幼稚な態度が招いた結果だ。

　


そんな中で、ひとつの光が差し込んだ。


雅の実家──西園寺家で、Bon Bon一周年を祝う家族バーベキューが開催されることになったのだ。


慶智の仲間たちやその家族も招待される大きなイベント。圭衣ちゃんも、きっと来る。この場で、彼女とちゃんと話せる機会があるはずだ。

　



バーベキューを迎える前に、キラリに関しても少し動きがあった。


弁護士の涼介からの指示で、この一年半、キラリがSNS上に投稿してきた僕に関するあらゆる投稿を証拠として保存した。


たとえ後ろ姿でも、無断で写真をアップした行為は、肖像権の侵害にあたる可能性があるからだ。

　
さらに、ILPの仲間たちにも事情を伝えてみたが、皆の前でキラリは僕について何も言っていないらしい。


だが、ピーターズコンベンションでの高圧的な態度、そして今度は肖像権侵害とストーカーまがいの行為。


……、一体、彼女は何がしたいんだ？

　
焦る気持ちばかりが募る。


できることなら、今すぐにでも圭衣ちゃんのもとへ行って、『話をさせてほしい』と頭を下げたい。でも、今はその一歩さえも許されない。

　
お願いだから、もうこれ以上──
彼女との未来を、邪魔しないでほしい。