リビングに戻ると、葉子は冷蔵庫から缶のアルコールを、美愛はキッチンからおつまみを取り出してくれた。
3人でソファに座り、缶を軽く合わせて、乾杯。
久しぶりに味わう、静かで穏やかな時間。
冷えたビールが、少し乾いていた喉を優しく潤してくれた。
私は、ゆっくりと口を開く。ピーターズコンベンションで起きた出来事を、ひとつずつふたりに話しはじめた。
大和が所属していたというピーターズクラブ──ILP(アイビーリーグピーターズ)のこと。その中にいた、唯一の女性メンバーの存在。高飛車で、どこか気になる女性だったこと。
さらに彼女のSNSに投稿されていた“彼氏らしき男性”の写真、そして大和の態度の変化。
「キラリのことが知りたくて、週末のドライブ旅行を断ったの。そしたら、大和……、怒っちゃって……」
私は、あの日からのことを振り返りながら話し続けた。
「いまだに、プロポーズを受け入れてないことも……、きっと原因のひとつだったんだと思う。理由をつけて先延ばししてたから」
──そして、彼にはいまだに“秘密”にしていることも。
「私ね、大和にはピーターズのことも、ガーリーロリータファッションのことも、何も言ってないの。怖くて……、言えなかった」
そう言った瞬間、どこか自分が情けなくなった。
「でも、大和も……、ILPに所属していたこと、私には話してくれていなかった。お互い様だよね……」
声が自然とかすれる。ふたりに向ける視線が、少しだけ滲んで見えた。
「彼が出て行ったあと、3日間、電話もLIMEも送った。でも……、既読にもならなくて。だからもう、連絡してないの。バーベキューも……、行けなかった。会いたくなかった」
思い出すだけで胸が締めつけられる。
「もうね、いろいろと疲れちゃったんだ。仕事も、プライベートも。葉子と美愛にまで迷惑をかけたくなかった。ふたりの家庭に波風を立てたくなかったの。だから──アメリカに戻ろうと思ってる。向こうで、また仕事を探す」
思いのすべてを話し終えた私を、葉子がじっと見つめていた。その瞳には、いつになく真剣な光が宿っていた。
3人でソファに座り、缶を軽く合わせて、乾杯。
久しぶりに味わう、静かで穏やかな時間。
冷えたビールが、少し乾いていた喉を優しく潤してくれた。
私は、ゆっくりと口を開く。ピーターズコンベンションで起きた出来事を、ひとつずつふたりに話しはじめた。
大和が所属していたというピーターズクラブ──ILP(アイビーリーグピーターズ)のこと。その中にいた、唯一の女性メンバーの存在。高飛車で、どこか気になる女性だったこと。
さらに彼女のSNSに投稿されていた“彼氏らしき男性”の写真、そして大和の態度の変化。
「キラリのことが知りたくて、週末のドライブ旅行を断ったの。そしたら、大和……、怒っちゃって……」
私は、あの日からのことを振り返りながら話し続けた。
「いまだに、プロポーズを受け入れてないことも……、きっと原因のひとつだったんだと思う。理由をつけて先延ばししてたから」
──そして、彼にはいまだに“秘密”にしていることも。
「私ね、大和にはピーターズのことも、ガーリーロリータファッションのことも、何も言ってないの。怖くて……、言えなかった」
そう言った瞬間、どこか自分が情けなくなった。
「でも、大和も……、ILPに所属していたこと、私には話してくれていなかった。お互い様だよね……」
声が自然とかすれる。ふたりに向ける視線が、少しだけ滲んで見えた。
「彼が出て行ったあと、3日間、電話もLIMEも送った。でも……、既読にもならなくて。だからもう、連絡してないの。バーベキューも……、行けなかった。会いたくなかった」
思い出すだけで胸が締めつけられる。
「もうね、いろいろと疲れちゃったんだ。仕事も、プライベートも。葉子と美愛にまで迷惑をかけたくなかった。ふたりの家庭に波風を立てたくなかったの。だから──アメリカに戻ろうと思ってる。向こうで、また仕事を探す」
思いのすべてを話し終えた私を、葉子がじっと見つめていた。その瞳には、いつになく真剣な光が宿っていた。



