婿入り希望の御曹司様とCool Beautyな彼女の結婚攻防戦〜長女圭衣の誰にも言えない3つの秘密〜花村三姉妹 圭衣と大和の物語

キラリの態度が変わったのは、ちょうど一年半ほど前のことだった。


それまでは、僕たちの後ろを静かについてくるだけの、控えめな存在だった。余計なことは口にせず、目立つような行動も取らない。
ただ、ひたすら「そこにいるだけ」──そんな印象の女性だった。


だが、ある時から様子が変わり始めた。急に、他クラブの人たちを見下すような発言を繰り返すようになり、その態度は日に日にエスカレートしていった。


ディスり、マウント、誇張された自慢話。
最初は軽口かと思っていたが、度重なる言動に、周囲の空気はみるみるうちに悪くなっていった。


やがて、他クラブからILP本部へ正式な苦情が寄せられ、僕たちのグループ全体に警告が下されることとなった。


──もちろん、原因は明らかだった。


キラリ本人に自覚や反省の様子はなく、むしろ開き直ったような態度で、挑発的な言動を強めていった。


このままでは、僕たちまで巻き添えを食う──
そう判断した僕たちは、彼女の言動をILPへ速やかに報告した。


そして、キラリを除く男性4人と、各ピーターズクラブの代表たちで、緊急のミーティングを行うこととなった。


その場で下された決定は、一つ。
「証拠を集めること」だった。


言い逃れできないほどの記録を揃えれば、
キラリはILP全体──すべてのピーターズクラブから出禁になる。


それ以来、僕たちは徹底して行動を変えた。


キラリと接触する際は、必ずグループ4人で行動し、会場はセキュリティカメラのある公共施設に限定。会話は録音し、決して2人きりにならないよう注意を払った。


傍目には、僕たちが彼女に甘いように映っていたかもしれない。だが、これは“計画”だった。冷静に、確実に、キラリを排除するための。

 



そして先週末、ILPのコンベンションが終わったばかりの頃。


グループの仲間、もっちゃんから連絡が入った。


「お前っぽい男が、キラリのSNSに載ってる」


その一言に、嫌な予感がした。


僕のSNSアカウントは非公開で、アクセスできるのは家族と数人の信頼できる人間だけだ。


慌てて確認すると、そこには僕の“後ろ姿”の写真がアップされていた。添えられていたのは、まるで恋人であるかのような、甘ったるい文章。


目の前がすっと冷える。


まさか、ここまでやるとは──


キラリは、いったい何を考えているのか。
そしてこの先、どこまでやろうとしているのか。


僕たちの計画は、加速する必要があるのかもしれない。