婿入り希望の御曹司様とCool Beautyな彼女の結婚攻防戦〜長女圭衣の誰にも言えない3つの秘密〜花村三姉妹 圭衣と大和の物語

会社帰りの大和が、私のマンションで夕飯を作っている。


リビングのソファに座りながら、ふとキッチンに目をやると、白いワイシャツの袖を腕まくりした大和の後ろ姿が目に入った。


──あの日、コンベンションで見た後ろ姿と重なる。


やっぱり……、間違いない。
あれは、大和だったんだ。


夕食中、何気ない会話を装って、探りを入れてみた。


「大和、週末は仕事だったの?」

「違うよ。久しぶりに仲間と集まったんだ」

「慶智の王子たち?」

「他のグループだよ。圭衣ちゃんは?」


一歩踏み込もうとした矢先、逆に質問を返されてしまい、それ以上は聞けなかった。
今は焦らず、じっくりと……、そう自分に言い聞かせる。


実は、ミッシェルちゃんのお姉さんがILPの運営委員だという。あの高飛車女とその仲間たちについて、近々情報が入る予定だった。


昨日、あの女たちが退場したあと、私が急に黙り込んでしまったことで、リリーちゃんたちに気づかれてしまったのだ。大和のことを話さざるを得なくなり、心配したミッシェルちゃんが助け船を出してくれた。


本来なら、クラブの内部情報なんて簡単に漏らしてはいけない。でも、あの女の横暴さにはILP内部でも問題意識があるようで、退会の機会を慎重に見極めているらしい。


「ねえ、圭衣ちゃん。……、今日、なんか上の空じゃない? 何かあったの?」


不意にかけられた言葉に、ドキリとする。

やばい……、この人、勘が鋭いの忘れてた。


「え? あ、ううん、ちょっと……、デザインのことでね」


なんとかごまかすと、大和は少し表情を変え、静かに口を開いた。

「……、あのさ、話したいことがあるんだ。僕たちの、結婚のこと」


──え?


思いがけない言葉に、思考が止まった。


結婚のこと……?
このタイミングで?


胸の奥に波紋が広がる。