会社帰りの大和が、私のマンションで夕飯を作っている。
リビングのソファに座りながら、ふとキッチンに目をやると、白いワイシャツの袖を腕まくりした大和の後ろ姿が目に入った。
──あの日、コンベンションで見た後ろ姿と重なる。
やっぱり……、間違いない。
あれは、大和だったんだ。
夕食中、何気ない会話を装って、探りを入れてみた。
「大和、週末は仕事だったの?」
「違うよ。久しぶりに仲間と集まったんだ」
「慶智の王子たち?」
「他のグループだよ。圭衣ちゃんは?」
一歩踏み込もうとした矢先、逆に質問を返されてしまい、それ以上は聞けなかった。
今は焦らず、じっくりと……、そう自分に言い聞かせる。
実は、ミッシェルちゃんのお姉さんがILPの運営委員だという。あの高飛車女とその仲間たちについて、近々情報が入る予定だった。
昨日、あの女たちが退場したあと、私が急に黙り込んでしまったことで、リリーちゃんたちに気づかれてしまったのだ。大和のことを話さざるを得なくなり、心配したミッシェルちゃんが助け船を出してくれた。
本来なら、クラブの内部情報なんて簡単に漏らしてはいけない。でも、あの女の横暴さにはILP内部でも問題意識があるようで、退会の機会を慎重に見極めているらしい。
「ねえ、圭衣ちゃん。……、今日、なんか上の空じゃない? 何かあったの?」
不意にかけられた言葉に、ドキリとする。
やばい……、この人、勘が鋭いの忘れてた。
「え? あ、ううん、ちょっと……、デザインのことでね」
なんとかごまかすと、大和は少し表情を変え、静かに口を開いた。
「……、あのさ、話したいことがあるんだ。僕たちの、結婚のこと」
──え?
思いがけない言葉に、思考が止まった。
結婚のこと……?
このタイミングで?
胸の奥に波紋が広がる。
リビングのソファに座りながら、ふとキッチンに目をやると、白いワイシャツの袖を腕まくりした大和の後ろ姿が目に入った。
──あの日、コンベンションで見た後ろ姿と重なる。
やっぱり……、間違いない。
あれは、大和だったんだ。
夕食中、何気ない会話を装って、探りを入れてみた。
「大和、週末は仕事だったの?」
「違うよ。久しぶりに仲間と集まったんだ」
「慶智の王子たち?」
「他のグループだよ。圭衣ちゃんは?」
一歩踏み込もうとした矢先、逆に質問を返されてしまい、それ以上は聞けなかった。
今は焦らず、じっくりと……、そう自分に言い聞かせる。
実は、ミッシェルちゃんのお姉さんがILPの運営委員だという。あの高飛車女とその仲間たちについて、近々情報が入る予定だった。
昨日、あの女たちが退場したあと、私が急に黙り込んでしまったことで、リリーちゃんたちに気づかれてしまったのだ。大和のことを話さざるを得なくなり、心配したミッシェルちゃんが助け船を出してくれた。
本来なら、クラブの内部情報なんて簡単に漏らしてはいけない。でも、あの女の横暴さにはILP内部でも問題意識があるようで、退会の機会を慎重に見極めているらしい。
「ねえ、圭衣ちゃん。……、今日、なんか上の空じゃない? 何かあったの?」
不意にかけられた言葉に、ドキリとする。
やばい……、この人、勘が鋭いの忘れてた。
「え? あ、ううん、ちょっと……、デザインのことでね」
なんとかごまかすと、大和は少し表情を変え、静かに口を開いた。
「……、あのさ、話したいことがあるんだ。僕たちの、結婚のこと」
──え?
思いがけない言葉に、思考が止まった。
結婚のこと……?
このタイミングで?
胸の奥に波紋が広がる。



