婿入り希望の御曹司様とCool Beautyな彼女の結婚攻防戦〜長女圭衣の誰にも言えない3つの秘密〜花村三姉妹 圭衣と大和の物語

難癖をつけられながらも、今回のコンベンションも無事に終わった。


帰宅すると、どっと疲れが押し寄せる。


いつもなら、リリーちゃんたちと軽く打ち上げをしてから帰宅し、さらに1人で乾杯──そんなルーティンがあるのに、今日はどうしても、そんな気分にはなれなかった。



ショップとフォトブースは大盛況。固定客もついてきて、売上も上々。本来なら、喜ぶべき結果だった。


それなのに。


頭から離れてくれない、大和のこと。





確かに、あの場で彼の姿を見た時は、心底驚いた。でも、彼がピーターズファンだったとしても、別に構わない。むしろ、同じ趣味なら私ももっと素直になれたかもしれない。
問題は、そこではなかった。


あの高飛車な女性──他人を見下し、周囲の空気を読まず、場を荒らしにくるあの女に、どうしてあんな態度を許したのか。彼女の暴言を、まるで幼子をなだめるように受け流していた。彼だけじゃない、あの場にいた男性たち全員が、だ。

 
私の知っている烏丸大和は──
仲間を思いやる男だった。


でも、間違った行いを見逃すような人ではない。かつて、親友の雅さんや弁護士の涼介先生に対してすら、厳しく意見をしたと聞いている。


それなのに、今回の彼は……、違っていた。

 
あれは──私の見間違いだったのだろうか?
いや、違う。間違いようがない。あのシャツも、ネクタイも、私が贈ったものだ。あれは間違いなく、大和だった。


だけど……、あんな大和と、私、本当に結婚したいの?これから先も、それぞれのピーターズクラブを続けながら、一緒に暮らしていけると思っていたのに。


どうしても、あの宥め方が胸に引っかかる。


彼は、あの高飛車な女を否定しなかった。
まるで、好意的にさえ見えた。


だったら──
そのまま彼女とでも、結婚すればよかったんじゃないの?同じクラブの仲間なら、趣味も価値観も合ってるはずなのに。


……、やっぱり、彼も私の趣味を、
あの女みたいに見下してるんじゃないだろうか。


そんな嫌な想像ばかりが、頭の中をぐるぐる回る。

 
明日、大和に会う予定がある。少し探りを入れてみよう。でも、このことに気づかれてはいけない。


烏丸家の情報網のすごさは、私も知っている。けれど、私にも頼れるツテはある。


ILPクラブについて、もう少し情報を集めておこう。大好きなガーリーロリータファッションのために──ちゃんと戦えるように。


……、ねぇ、大和。
あなたは、私の味方?
それとも──敵なの?