難癖をつけられながらも、今回のコンベンションも無事に終わった。
帰宅すると、どっと疲れが押し寄せる。
いつもなら、リリーちゃんたちと軽く打ち上げをしてから帰宅し、さらに1人で乾杯──そんなルーティンがあるのに、今日はどうしても、そんな気分にはなれなかった。
ショップとフォトブースは大盛況。固定客もついてきて、売上も上々。本来なら、喜ぶべき結果だった。
それなのに。
頭から離れてくれない、大和のこと。
確かに、あの場で彼の姿を見た時は、心底驚いた。でも、彼がピーターズファンだったとしても、別に構わない。むしろ、同じ趣味なら私ももっと素直になれたかもしれない。
問題は、そこではなかった。
あの高飛車な女性──他人を見下し、周囲の空気を読まず、場を荒らしにくるあの女に、どうしてあんな態度を許したのか。彼女の暴言を、まるで幼子をなだめるように受け流していた。彼だけじゃない、あの場にいた男性たち全員が、だ。
私の知っている烏丸大和は──
仲間を思いやる男だった。
でも、間違った行いを見逃すような人ではない。かつて、親友の雅さんや弁護士の涼介先生に対してすら、厳しく意見をしたと聞いている。
それなのに、今回の彼は……、違っていた。
あれは──私の見間違いだったのだろうか?
いや、違う。間違いようがない。あのシャツも、ネクタイも、私が贈ったものだ。あれは間違いなく、大和だった。
だけど……、あんな大和と、私、本当に結婚したいの?これから先も、それぞれのピーターズクラブを続けながら、一緒に暮らしていけると思っていたのに。
どうしても、あの宥め方が胸に引っかかる。
彼は、あの高飛車な女を否定しなかった。
まるで、好意的にさえ見えた。
だったら──
そのまま彼女とでも、結婚すればよかったんじゃないの?同じクラブの仲間なら、趣味も価値観も合ってるはずなのに。
……、やっぱり、彼も私の趣味を、
あの女みたいに見下してるんじゃないだろうか。
そんな嫌な想像ばかりが、頭の中をぐるぐる回る。
明日、大和に会う予定がある。少し探りを入れてみよう。でも、このことに気づかれてはいけない。
烏丸家の情報網のすごさは、私も知っている。けれど、私にも頼れるツテはある。
ILPクラブについて、もう少し情報を集めておこう。大好きなガーリーロリータファッションのために──ちゃんと戦えるように。
……、ねぇ、大和。
あなたは、私の味方?
それとも──敵なの?
帰宅すると、どっと疲れが押し寄せる。
いつもなら、リリーちゃんたちと軽く打ち上げをしてから帰宅し、さらに1人で乾杯──そんなルーティンがあるのに、今日はどうしても、そんな気分にはなれなかった。
ショップとフォトブースは大盛況。固定客もついてきて、売上も上々。本来なら、喜ぶべき結果だった。
それなのに。
頭から離れてくれない、大和のこと。
確かに、あの場で彼の姿を見た時は、心底驚いた。でも、彼がピーターズファンだったとしても、別に構わない。むしろ、同じ趣味なら私ももっと素直になれたかもしれない。
問題は、そこではなかった。
あの高飛車な女性──他人を見下し、周囲の空気を読まず、場を荒らしにくるあの女に、どうしてあんな態度を許したのか。彼女の暴言を、まるで幼子をなだめるように受け流していた。彼だけじゃない、あの場にいた男性たち全員が、だ。
私の知っている烏丸大和は──
仲間を思いやる男だった。
でも、間違った行いを見逃すような人ではない。かつて、親友の雅さんや弁護士の涼介先生に対してすら、厳しく意見をしたと聞いている。
それなのに、今回の彼は……、違っていた。
あれは──私の見間違いだったのだろうか?
いや、違う。間違いようがない。あのシャツも、ネクタイも、私が贈ったものだ。あれは間違いなく、大和だった。
だけど……、あんな大和と、私、本当に結婚したいの?これから先も、それぞれのピーターズクラブを続けながら、一緒に暮らしていけると思っていたのに。
どうしても、あの宥め方が胸に引っかかる。
彼は、あの高飛車な女を否定しなかった。
まるで、好意的にさえ見えた。
だったら──
そのまま彼女とでも、結婚すればよかったんじゃないの?同じクラブの仲間なら、趣味も価値観も合ってるはずなのに。
……、やっぱり、彼も私の趣味を、
あの女みたいに見下してるんじゃないだろうか。
そんな嫌な想像ばかりが、頭の中をぐるぐる回る。
明日、大和に会う予定がある。少し探りを入れてみよう。でも、このことに気づかれてはいけない。
烏丸家の情報網のすごさは、私も知っている。けれど、私にも頼れるツテはある。
ILPクラブについて、もう少し情報を集めておこう。大好きなガーリーロリータファッションのために──ちゃんと戦えるように。
……、ねぇ、大和。
あなたは、私の味方?
それとも──敵なの?



