婿入り希望の御曹司様とCool Beautyな彼女の結婚攻防戦〜長女圭衣の誰にも言えない3つの秘密〜花村三姉妹 圭衣と大和の物語

待ちに待ったコンベンションの初日。
目覚ましが鳴るよりも前に目が覚めた私は、遠足前の子どものように胸を高鳴らせながらベッドから起き上がった。


商品関連はすでにスーツケースに詰め終えてあるので、今日は自分の準備にたっぷり時間を使える。


まずはウィッグネットをかぶり、ブルーのカラコンを装着。その上からテーピングを施し、ネットを固定しながら自然なフェイスリフト効果を狙う。少し切れ長な目元に、ほどよい丸みと華やかさが加わった気がする。


メイクは、陶器のようななめらかな肌をベースに、ピンクベージュのアイメイクと、ピンクピーチ系のチーク。唇には艶のあるウエットチェリーのリップを引き、ふんわりとした愛らしさを添える。


もちろん、つけまつ毛とアイブロウの調整も忘れない。


今日は、顎ラインまでのブロンドウィッグをチョイス。毛先を大きくカールさせ、水色の大きなリボンカチューシャを添えると、
まるで絵本の中から飛び出してきたような可愛らしい雰囲気に仕上がった。


衣装は、お気に入りの水色アリス風ワンピース(膝上丈)に、白いエプロン。黒いリボンでアクセントをつけ、甘すぎず洗練された印象を目指す。足元は、白いレースのハイソックスに、黒のメリージェーンシューズ。どこから見ても完璧。これで、私だと気づく人はきっといない。


……、とはいえ、念のためコンベンション会場ではピンクのマスクを着用しておくつもりだ。


鏡に映る自分を見つめながら、口元が緩む。

「うん、めっちゃかわいい……!」


満足げにうなずきながら、スーツケースを二つ車に積み込む。


この瞬間がたまらなく好きだ。


自分の“好き”を詰め込んだ空間で、自由に、そして堂々と楽しめる特別な日。


高鳴る胸を抑えながら、私は運転席に乗り込む。


いざ、出陣──!