それからの僕の行動は、早かった。
もんじゃ屋からコインパーキングへ戻るまでの短い間に、LIMEの交換はもちろん、彼女の言葉ひとつひとつに耳を傾けた。表情、仕草、目線──すべてに神経を集中させる。
僕の一族は、仲間内で『情報屋の烏丸一族』なんて呼ばれているくらい、調査力には自信がある。正直、彼女のことを知るだけなら、裏のネットワークを使えば一瞬だ。
でも今回は──そんな手を使いたくなかった。
自分の目と感覚で、彼女のことを知りたかった。
付き合ううちに、少しずつ彼女の本質が見えてきた。
情に厚く、涙もろくて、特に妹たちのことになると、スイッチが入ったように熱くなる。気が短くてケンカっ早いところもあるけれど、そこも含めて彼女らしい。
手先は器用なのに、意外なことに料理は苦手らしい──妹の美愛ちゃんとは正反対だ。
忘れられないのは、昔、美愛ちゃんを侮辱した男に対して彼女が取った行動。
『おい、カッパおやじ。あんた、私にケンカを売ってんの? うちの可愛い美愛ちゃんに、なんてこと言ってくれてんのよ? 美愛ちゃんはね、あんたのクサヤ娘よりも何千倍も綺麗でいい子なんだからね! その頭の皿、かち割ってやるから待ってろ‼︎』
──と怒鳴り込みに行こうとしたという話を聞いたときは、正直、笑いをこらえるのが大変だった。
さらに、元友人が美愛ちゃんの婚約者・雅にちょっかいを出したときには、会議室のテーブルの上を這ってまで、その元友人にビンタを二発喰らわせたという伝説まで残っている。
まさに“firecracker(爆竹)”。彼女のお父さん・ジョセフさんがそう呼ぶ理由がよくわかる。
──でも、そんな彼女が僕は好きだ。
不器用な優しさも、まっすぐな怒りも、人を思う気持ちも、全部ひっくるめて。
気が強くて、気取らずざっくばらん。それでいて、誰に媚びることもない。慶智の王子の僕らにさえ、きちんと意見してくる。
そんな彼女だからこそ、心惹かれた。
これからもっと知りたいと思ったし──何より、手放したくないと思った。
もんじゃ屋からコインパーキングへ戻るまでの短い間に、LIMEの交換はもちろん、彼女の言葉ひとつひとつに耳を傾けた。表情、仕草、目線──すべてに神経を集中させる。
僕の一族は、仲間内で『情報屋の烏丸一族』なんて呼ばれているくらい、調査力には自信がある。正直、彼女のことを知るだけなら、裏のネットワークを使えば一瞬だ。
でも今回は──そんな手を使いたくなかった。
自分の目と感覚で、彼女のことを知りたかった。
付き合ううちに、少しずつ彼女の本質が見えてきた。
情に厚く、涙もろくて、特に妹たちのことになると、スイッチが入ったように熱くなる。気が短くてケンカっ早いところもあるけれど、そこも含めて彼女らしい。
手先は器用なのに、意外なことに料理は苦手らしい──妹の美愛ちゃんとは正反対だ。
忘れられないのは、昔、美愛ちゃんを侮辱した男に対して彼女が取った行動。
『おい、カッパおやじ。あんた、私にケンカを売ってんの? うちの可愛い美愛ちゃんに、なんてこと言ってくれてんのよ? 美愛ちゃんはね、あんたのクサヤ娘よりも何千倍も綺麗でいい子なんだからね! その頭の皿、かち割ってやるから待ってろ‼︎』
──と怒鳴り込みに行こうとしたという話を聞いたときは、正直、笑いをこらえるのが大変だった。
さらに、元友人が美愛ちゃんの婚約者・雅にちょっかいを出したときには、会議室のテーブルの上を這ってまで、その元友人にビンタを二発喰らわせたという伝説まで残っている。
まさに“firecracker(爆竹)”。彼女のお父さん・ジョセフさんがそう呼ぶ理由がよくわかる。
──でも、そんな彼女が僕は好きだ。
不器用な優しさも、まっすぐな怒りも、人を思う気持ちも、全部ひっくるめて。
気が強くて、気取らずざっくばらん。それでいて、誰に媚びることもない。慶智の王子の僕らにさえ、きちんと意見してくる。
そんな彼女だからこそ、心惹かれた。
これからもっと知りたいと思ったし──何より、手放したくないと思った。



