東京23区外──副都心まで電車で30分ほどのこの地域は、都会と田舎のちょうど中間にある。
市内には二つの川が流れ、二つの山がそびえる。自然の景色がすぐそばにあり、心を静かにしてくれる場所だ。
ようやく、ここに引っ越すことができた。
この平屋の古民家に一目惚れし、購入を即決。そこから増築工事におよそ4か月をかけた。
大和とお互いの秘密を打ち明け合った、あの日からもう4か月。あの後すぐに物件を探し始め、この家に出会い、すべてがトントン拍子に進んでいった。敷地自体は十分に広かったけれど、部屋数が足りず、すぐに業者に連絡して増築を依頼した。
家はブロック塀でぐるりと囲まれており、プライバシーも確保されている。仕事部屋も必要だったため、元の2部屋を5部屋へと拡張し、屋根付きの車庫も一つから二つに増やした。もちろん、その中の一部屋は“秘密の世界”専用。まるまる一部屋を、そのための空間として確保した。
ありがたいことに、キッチン・トイレ・浴室はすでにリフォーム済みだった。ダイニングルームはなく、代わりに縁側のある畳の居間がリビング兼ダイニングとなる。ここから見える山の景色が、心を穏やかにしてくれる。
当初は、仕事を完全に辞めるつもりでいた。
けれど、やり手副社長である葉子から、ある提案が舞い込んできたのだ。
「ガーリーロリータファッションのアパレルショップを出さない?」
一般的な洋服に比べれば需要は少ないけれど、近年ロリータファッションカフェが少しずつ流行の兆しを見せている。その流れを受け、店舗は実店舗1店とネット販売のみで展開することに。
そして、今まで私のアシスタントを務めていた子をチーフデザイナーに昇進させ、Cool Beautyのデザインを任せることになった。
私はというと、ロリータファッションとCool Beauty、両方のブランドを掛け持ちする立場になる。
メインはあくまでロリータライン。けれど、Cool Beautyの最終決定権は、葉子と私にあるという、ありがたい条件だった。
週に3日の出社という働き方も、引っ越し前と変わらない。金曜日には葉子と2人で出社するのも、以前のままのペースだ。
やっぱり私は、彼女の手のひらで転がされてるんだな。
市内には二つの川が流れ、二つの山がそびえる。自然の景色がすぐそばにあり、心を静かにしてくれる場所だ。
ようやく、ここに引っ越すことができた。
この平屋の古民家に一目惚れし、購入を即決。そこから増築工事におよそ4か月をかけた。
大和とお互いの秘密を打ち明け合った、あの日からもう4か月。あの後すぐに物件を探し始め、この家に出会い、すべてがトントン拍子に進んでいった。敷地自体は十分に広かったけれど、部屋数が足りず、すぐに業者に連絡して増築を依頼した。
家はブロック塀でぐるりと囲まれており、プライバシーも確保されている。仕事部屋も必要だったため、元の2部屋を5部屋へと拡張し、屋根付きの車庫も一つから二つに増やした。もちろん、その中の一部屋は“秘密の世界”専用。まるまる一部屋を、そのための空間として確保した。
ありがたいことに、キッチン・トイレ・浴室はすでにリフォーム済みだった。ダイニングルームはなく、代わりに縁側のある畳の居間がリビング兼ダイニングとなる。ここから見える山の景色が、心を穏やかにしてくれる。
当初は、仕事を完全に辞めるつもりでいた。
けれど、やり手副社長である葉子から、ある提案が舞い込んできたのだ。
「ガーリーロリータファッションのアパレルショップを出さない?」
一般的な洋服に比べれば需要は少ないけれど、近年ロリータファッションカフェが少しずつ流行の兆しを見せている。その流れを受け、店舗は実店舗1店とネット販売のみで展開することに。
そして、今まで私のアシスタントを務めていた子をチーフデザイナーに昇進させ、Cool Beautyのデザインを任せることになった。
私はというと、ロリータファッションとCool Beauty、両方のブランドを掛け持ちする立場になる。
メインはあくまでロリータライン。けれど、Cool Beautyの最終決定権は、葉子と私にあるという、ありがたい条件だった。
週に3日の出社という働き方も、引っ越し前と変わらない。金曜日には葉子と2人で出社するのも、以前のままのペースだ。
やっぱり私は、彼女の手のひらで転がされてるんだな。



