僕たちの間にあったわだかまり、言い争いの原因も、ピーターズファミリーのことも、すべて伝えられた。あとはもう、ひとつだけ。
そう、最後にすべきことは……、もう一度、圭衣ちゃんにプロポーズをすること。
これが、僕にとってのラストチャンスだ。
「ちょっと待ってね」
そう言って、中央のテーブルの下からピンク色の大きな箱をそっと取り出す。この瞬間のために用意していた、特別な箱。僕はそれを抱えて窓際の出窓へと運んだ。
そして、ガラスケースの前に佇む彼女の手をそっと取る。
「圭衣ちゃん、来てほしい場所があるんだ」
手を引いて、一緒に出窓へ向かう。ピンクの箱の中から取り出したのは、ウィルとラーラのぬいぐるみ。彼女が心を込めて仕立ててくれた、真っ白なウェディング衣装を身に
まとったふたりを、そっと並べて座らせた。
バッグの中に忍ばせておいた、小さなジュエリーケース。紫道君から受け取ったそれを手に取り、彼女の前にひざまずく。
「圭衣ちゃん、僕には君しかいないんだ。……、僕と結婚してください」
手が震えているのが、自分でもわかる。でも、それでもいい。この想いを今、届けたい。
指輪を差し出したその手に、彼女の手が添えられることを願った。
……、だけど彼女の瞳が揺れている。
口を開いた彼女の言葉に、僕の胸が急激に冷たくなる。
受け取ってもらえなかった。
頭の中が真っ白になり、血の気がサッと引いていく。言葉の意味がすぐには理解できなかった。でも、確かに彼女は『今は』って言った。
また……、先延ばし……?
以前と同じ状況に戻ったかのようで、胸が締めつけられる。心の中で『終わった』という言葉が何度も反響する。
けれど……。
「違うの、そうじゃない。大和、私と一緒に来てもらいたい所があるの。それから、聞いてほしいこともあるの。……、そのあとで、それでも私と結婚したいって思えるのなら、もう一度、プロポーズして欲しい」
圭衣ちゃんの慌てたような声。それを聞いて、ほんのわずかに希望の光が差し込む。
……、混乱していた僕の中に、ようやく言葉が落ち着いて響いた。
そうか、終わってなんか、いないんだ。彼女には、まだ僕に伝えたいことがある。一緒に行きたい場所がある。それは、彼女の真実を僕に見せようとしている証拠だ。
だったら、僕の答えは決まってる。
「うん、わかった。じゃあ、いつ行く?」
彼女の瞳が、少しだけ、ほんの少しだけ潤んで、頷いた気がした。
そう、最後にすべきことは……、もう一度、圭衣ちゃんにプロポーズをすること。
これが、僕にとってのラストチャンスだ。
「ちょっと待ってね」
そう言って、中央のテーブルの下からピンク色の大きな箱をそっと取り出す。この瞬間のために用意していた、特別な箱。僕はそれを抱えて窓際の出窓へと運んだ。
そして、ガラスケースの前に佇む彼女の手をそっと取る。
「圭衣ちゃん、来てほしい場所があるんだ」
手を引いて、一緒に出窓へ向かう。ピンクの箱の中から取り出したのは、ウィルとラーラのぬいぐるみ。彼女が心を込めて仕立ててくれた、真っ白なウェディング衣装を身に
まとったふたりを、そっと並べて座らせた。
バッグの中に忍ばせておいた、小さなジュエリーケース。紫道君から受け取ったそれを手に取り、彼女の前にひざまずく。
「圭衣ちゃん、僕には君しかいないんだ。……、僕と結婚してください」
手が震えているのが、自分でもわかる。でも、それでもいい。この想いを今、届けたい。
指輪を差し出したその手に、彼女の手が添えられることを願った。
……、だけど彼女の瞳が揺れている。
口を開いた彼女の言葉に、僕の胸が急激に冷たくなる。
受け取ってもらえなかった。
頭の中が真っ白になり、血の気がサッと引いていく。言葉の意味がすぐには理解できなかった。でも、確かに彼女は『今は』って言った。
また……、先延ばし……?
以前と同じ状況に戻ったかのようで、胸が締めつけられる。心の中で『終わった』という言葉が何度も反響する。
けれど……。
「違うの、そうじゃない。大和、私と一緒に来てもらいたい所があるの。それから、聞いてほしいこともあるの。……、そのあとで、それでも私と結婚したいって思えるのなら、もう一度、プロポーズして欲しい」
圭衣ちゃんの慌てたような声。それを聞いて、ほんのわずかに希望の光が差し込む。
……、混乱していた僕の中に、ようやく言葉が落ち着いて響いた。
そうか、終わってなんか、いないんだ。彼女には、まだ僕に伝えたいことがある。一緒に行きたい場所がある。それは、彼女の真実を僕に見せようとしている証拠だ。
だったら、僕の答えは決まってる。
「うん、わかった。じゃあ、いつ行く?」
彼女の瞳が、少しだけ、ほんの少しだけ潤んで、頷いた気がした。



