これって……、私がデザインして、作ったやつだ……。
目の前に並べられたウィルとラーラ。その衣装を見た瞬間、胸の奥がキュッと鳴った。
ウェディングドレスの細かなレース、裾にあしらった小さなリボン。どれも、私の記憶の中に確かにある。
驚きのあまり大和を見ると、彼はウィルに掛けられた大きめのショルダーバッグの中を探っていた。
「何してるの……?」
そう思って見つめる私の前で、大和はふいにその手を止め、次の瞬間──
「圭衣ちゃん、僕には君しかいないんだ。僕と結婚してください」
彼は片膝をつき、ゆっくりと小さなベルベットの箱を開けて、私の前に差し出した。
中には、あの指輪。ローズカットのインフィニティリング。
彼の手が、わずかに震えているのが見えた。
心が揺れた。今なら、素直に嬉しい。泣きたいくらい、胸がいっぱいで……。
でも今は、まだ受け取れない。
彼は自分の“秘密”をすべてさらけ出して、勇気を出してくれた。ならば、私も同じように、自分のすべてを見せなきゃいけない。
フェアじゃないもの。
私だって、家族のこと、趣味のこと、全部包み隠さず話したうえで、彼に選んでもらいたい。
「……、これ、私がデザインした指輪?」
問いかけると、大和は静かに笑ってうなずいた。
「うん。……、僕、あの時のデザイン、大切に持ってたんだ」
あぁ、ダメだ。涙が出そう。でも、今は違う。今じゃない。
「……、ごめん。今は、受け取れない」
そう告げると、彼の顔が一瞬で色を失い、絶望に歪んだ。
「ち、違うの。そうじゃない、大和……」
慌てて言葉を重ねた。
「私と一緒に来てもらいたい場所があるの。……、それから、聞いてほしい話も。
その後で、それでも私と結婚したいって思えるなら、そのときに、もう一度プロポーズしてほしい」
しばらく、沈黙が流れた。
彼は目を閉じて、何かを噛みしめるように、ゆっくりと考えていた。
やがてその目を開いて、まっすぐ私を見て、力強くうなずいた。
「うん、わかった。……、じゃあ、いつ行く?」
「……、遅いのはわかってる。けど、先延ばしにしたくないの。今からでも……いいかな?」
彼の運転で、私たちはマンションから車で15分ほどの場所にあるトランクルームへ向かった。
道中、ふたりともほとんど口を開かなかった。何を話せばいいか、私にはわからなかったし、何より、自分の中で覚悟を固めるのに必死だった。
到着して、地下の駐車場に車を停める。カードキーでセキュリティゲートを通り抜け、エレベーターに乗り込んだ。
3階、私が借りている、8畳の小さな倉庫。
前に立つと、心臓がバクバク鳴り出す。背中に、じわりと嫌な汗が滲んだ。
いよいよ、私の番だ。
大和の秘密はひとつだった。でも、私は違う。ピーターズファミリー、ガーリーロリータファッション、そして家族のこと。
気が重い。でも、もう逃げられない。
まずはここで、ピーターズとロリータのことを伝えよう。この場所でなら、きっと……、勇気を出せる気がする。
目の前に並べられたウィルとラーラ。その衣装を見た瞬間、胸の奥がキュッと鳴った。
ウェディングドレスの細かなレース、裾にあしらった小さなリボン。どれも、私の記憶の中に確かにある。
驚きのあまり大和を見ると、彼はウィルに掛けられた大きめのショルダーバッグの中を探っていた。
「何してるの……?」
そう思って見つめる私の前で、大和はふいにその手を止め、次の瞬間──
「圭衣ちゃん、僕には君しかいないんだ。僕と結婚してください」
彼は片膝をつき、ゆっくりと小さなベルベットの箱を開けて、私の前に差し出した。
中には、あの指輪。ローズカットのインフィニティリング。
彼の手が、わずかに震えているのが見えた。
心が揺れた。今なら、素直に嬉しい。泣きたいくらい、胸がいっぱいで……。
でも今は、まだ受け取れない。
彼は自分の“秘密”をすべてさらけ出して、勇気を出してくれた。ならば、私も同じように、自分のすべてを見せなきゃいけない。
フェアじゃないもの。
私だって、家族のこと、趣味のこと、全部包み隠さず話したうえで、彼に選んでもらいたい。
「……、これ、私がデザインした指輪?」
問いかけると、大和は静かに笑ってうなずいた。
「うん。……、僕、あの時のデザイン、大切に持ってたんだ」
あぁ、ダメだ。涙が出そう。でも、今は違う。今じゃない。
「……、ごめん。今は、受け取れない」
そう告げると、彼の顔が一瞬で色を失い、絶望に歪んだ。
「ち、違うの。そうじゃない、大和……」
慌てて言葉を重ねた。
「私と一緒に来てもらいたい場所があるの。……、それから、聞いてほしい話も。
その後で、それでも私と結婚したいって思えるなら、そのときに、もう一度プロポーズしてほしい」
しばらく、沈黙が流れた。
彼は目を閉じて、何かを噛みしめるように、ゆっくりと考えていた。
やがてその目を開いて、まっすぐ私を見て、力強くうなずいた。
「うん、わかった。……、じゃあ、いつ行く?」
「……、遅いのはわかってる。けど、先延ばしにしたくないの。今からでも……いいかな?」
彼の運転で、私たちはマンションから車で15分ほどの場所にあるトランクルームへ向かった。
道中、ふたりともほとんど口を開かなかった。何を話せばいいか、私にはわからなかったし、何より、自分の中で覚悟を固めるのに必死だった。
到着して、地下の駐車場に車を停める。カードキーでセキュリティゲートを通り抜け、エレベーターに乗り込んだ。
3階、私が借りている、8畳の小さな倉庫。
前に立つと、心臓がバクバク鳴り出す。背中に、じわりと嫌な汗が滲んだ。
いよいよ、私の番だ。
大和の秘密はひとつだった。でも、私は違う。ピーターズファミリー、ガーリーロリータファッション、そして家族のこと。
気が重い。でも、もう逃げられない。
まずはここで、ピーターズとロリータのことを伝えよう。この場所でなら、きっと……、勇気を出せる気がする。



