「お願いだから……、なんか言ってよ、圭衣ちゃん……」
その声に、私はハッと我に返った。
夢中になってしまっていた。あまりに感動して、目の前の世界に没頭していたせいで、彼の存在を忘れていたなんて……。
慌てて後ろを振り返る。
そこには、大和が立ち尽くしていた。
まるで、これから死刑宣告を受ける囚人のような表情で、私を見ている。
悲しくて、苦しくて、怖くて。
それでも、必死に耐えている顔。
そうだ……、大和は、ずっとこの趣味を否定されてきたんだ。
男なのに、変だって。
女々しいって。
気持ち悪いって、笑われてきたんだ。
でも私は、違う。
「……、感動してたの。整理もすごくて、見やすいし。特にこの洋服たちなんて、まるでショップみたい。きっとすごく手間がかかったよね?」
私の言葉に、彼は驚いたように目を見開いた。
「僕のこと……、変だと思わないの?30半ばの男がピーターズファミリー集めてるんだよ? 女々しいとか……、気持ち悪いとか……、思わないの?」
その声は、震えていた。
大和……。
私は静かに首を横に振る。
「ううん。そんなこと、一切思わないよ」
目をそらさずに伝えた。胸の奥にある、ずっと言えなかった自分の気持ちと重ねながら。
「だって、私も同じだもん。“可愛い”って思う気持ちを、大事にしてる。誰かに笑われたって、好きな気持ちって、変じゃないよ」
それを聞いた大和の顔が、ほんの少しだけ、柔らかくなる。
「……、あのさ、このワンピースたち。特に、このフリルがついたやつ……」
私がそっとケースの中の一着を指差すと、大和が嬉しそうに頷いた。
「あっ、それ? すごくよくできてるでしょ?これはね、ピーターズファミリーコンベンションで買ったんだ。お店の人が教えてくれたんだよ。全部、出店主がデザインから手作りしてるって。まだその人と直接話したことはないんだけど……、僕の、大切なコレクションなんだ」
無邪気に笑いながら話す大和の顔は、私がよく知っている“彼”そのものだった。その言葉の一つ一つが、胸にじんわりと沁みていく。
私が作った服を、こんなにも大事にしてくれていたなんて。
「……、ちょっと待っててね」
そう言って、大和は部屋の中央にあるテーブルの下へとしゃがみ込み、大きなピンクの箱を引き出した。そのままそれを抱えて、部屋の奥、出窓の窓台へと運んでいく。
そして私の手を取ると、やさしく導くように並んで歩き出した。
窓の明かりが差し込む出窓の前。そっとその箱を開けた彼の手の中にあったのは、ウェディングドレスを纏ったラーラと、王子さま風の衣装を着たウィル。
お人形たちは、箱のフタを背もたれにするようにして、ちょこんと座らされた。
その光景を見て、思わず息を呑む。
胸が、ぎゅっと、締めつけられた。
それはきっと、嬉しさと、切なさと、愛しさが混ざった、特別な痛みだった。
その声に、私はハッと我に返った。
夢中になってしまっていた。あまりに感動して、目の前の世界に没頭していたせいで、彼の存在を忘れていたなんて……。
慌てて後ろを振り返る。
そこには、大和が立ち尽くしていた。
まるで、これから死刑宣告を受ける囚人のような表情で、私を見ている。
悲しくて、苦しくて、怖くて。
それでも、必死に耐えている顔。
そうだ……、大和は、ずっとこの趣味を否定されてきたんだ。
男なのに、変だって。
女々しいって。
気持ち悪いって、笑われてきたんだ。
でも私は、違う。
「……、感動してたの。整理もすごくて、見やすいし。特にこの洋服たちなんて、まるでショップみたい。きっとすごく手間がかかったよね?」
私の言葉に、彼は驚いたように目を見開いた。
「僕のこと……、変だと思わないの?30半ばの男がピーターズファミリー集めてるんだよ? 女々しいとか……、気持ち悪いとか……、思わないの?」
その声は、震えていた。
大和……。
私は静かに首を横に振る。
「ううん。そんなこと、一切思わないよ」
目をそらさずに伝えた。胸の奥にある、ずっと言えなかった自分の気持ちと重ねながら。
「だって、私も同じだもん。“可愛い”って思う気持ちを、大事にしてる。誰かに笑われたって、好きな気持ちって、変じゃないよ」
それを聞いた大和の顔が、ほんの少しだけ、柔らかくなる。
「……、あのさ、このワンピースたち。特に、このフリルがついたやつ……」
私がそっとケースの中の一着を指差すと、大和が嬉しそうに頷いた。
「あっ、それ? すごくよくできてるでしょ?これはね、ピーターズファミリーコンベンションで買ったんだ。お店の人が教えてくれたんだよ。全部、出店主がデザインから手作りしてるって。まだその人と直接話したことはないんだけど……、僕の、大切なコレクションなんだ」
無邪気に笑いながら話す大和の顔は、私がよく知っている“彼”そのものだった。その言葉の一つ一つが、胸にじんわりと沁みていく。
私が作った服を、こんなにも大事にしてくれていたなんて。
「……、ちょっと待っててね」
そう言って、大和は部屋の中央にあるテーブルの下へとしゃがみ込み、大きなピンクの箱を引き出した。そのままそれを抱えて、部屋の奥、出窓の窓台へと運んでいく。
そして私の手を取ると、やさしく導くように並んで歩き出した。
窓の明かりが差し込む出窓の前。そっとその箱を開けた彼の手の中にあったのは、ウェディングドレスを纏ったラーラと、王子さま風の衣装を着たウィル。
お人形たちは、箱のフタを背もたれにするようにして、ちょこんと座らされた。
その光景を見て、思わず息を呑む。
胸が、ぎゅっと、締めつけられた。
それはきっと、嬉しさと、切なさと、愛しさが混ざった、特別な痛みだった。



