彼に促され、私は静かにそのあとをついていく。向かった先は仕事部屋の隣。見覚えのないドアの前で、大和が足を止めた。
そこは、私の仕事部屋兼ピーターズファミリーのコレクションルームと同じく、鍵がかかっていた。大和はポケットから鍵を取り出し、ゆっくりと鍵穴に差し込む。
カチャリ。
扉の取っ手を握るその手が、わずかに震えていた。そして、深く、長い息を吐き出すと私の方を見つめて、ぽつりと呟いた。
「……、僕は今でも、圭衣ちゃんを愛してる。結婚だって、君以外は考えられないんだ。だから……、この秘密を、知ってもらいたい。お願いだから……、僕のこと、嫌いにならないで」
その最後の言葉は、消えてしまいそうなほど小さくて。それでも、彼の瞳には真剣な想いが宿っていた。
カチャ。
ドアが静かに開かれる。そして私の目に飛び込んできたのは、夢のような光景だった。
広い部屋いっぱいに広がる、ピーターズファミリーの世界。まさに、そのために作られた専用空間。部屋の中央には、ILP──アイビーリーグピーターズを象徴する、アメリカの名門大学を模したディスプレイ。ミニチュアの建物や芝生、学生たちをイメージしたピーターズが配置され、まるで文化祭のジオラマのよう。
さらに壁一面にはガラスのフィギュアケースが並び、その中でもとくに私の目を引いたのは、クローゼットのような大型ケース。
うそ、すごい……!
思わず小走りに近づいてしまった。ケースの中には、小さなハンガーで一着一着丁寧に吊るされた洋服たち。カラフルなラックには、まるでセレクトショップのように綺麗に並ぶ衣装。
その種類の多さにも驚いた。アイビーリーグ系のトラッドファッションだけでなく、着物や甚平、カジュアル系……、え?
ええっ!? ちょっと待って……、
これって……!
目を見開く。
そこにあったのは私がコンベンションで販売した、ガーリーロリータファッションのワンピースたち。
淡いパステルカラー。たっぷりのフリルと繊細なレース。胸元のリボンや、小花柄の刺繍。まぎれもなく、私の手でデザインし、作り上げた服だった。
「……、大切に、してくれてる……」
思わず小さく言葉が漏れる。
どの服も他の衣装と変わらず、いや、それ以上に丁寧に保管されていた。心の奥が、じんわりと熱くなる。
あれ? でも……、私、大和に直接これを売ったこと、あったっけ?
胸の奥に、疑問とともに芽生える、淡い予感。彼は、いつから私の“作ったもの”を、知っていてくれたのだろう。
そこは、私の仕事部屋兼ピーターズファミリーのコレクションルームと同じく、鍵がかかっていた。大和はポケットから鍵を取り出し、ゆっくりと鍵穴に差し込む。
カチャリ。
扉の取っ手を握るその手が、わずかに震えていた。そして、深く、長い息を吐き出すと私の方を見つめて、ぽつりと呟いた。
「……、僕は今でも、圭衣ちゃんを愛してる。結婚だって、君以外は考えられないんだ。だから……、この秘密を、知ってもらいたい。お願いだから……、僕のこと、嫌いにならないで」
その最後の言葉は、消えてしまいそうなほど小さくて。それでも、彼の瞳には真剣な想いが宿っていた。
カチャ。
ドアが静かに開かれる。そして私の目に飛び込んできたのは、夢のような光景だった。
広い部屋いっぱいに広がる、ピーターズファミリーの世界。まさに、そのために作られた専用空間。部屋の中央には、ILP──アイビーリーグピーターズを象徴する、アメリカの名門大学を模したディスプレイ。ミニチュアの建物や芝生、学生たちをイメージしたピーターズが配置され、まるで文化祭のジオラマのよう。
さらに壁一面にはガラスのフィギュアケースが並び、その中でもとくに私の目を引いたのは、クローゼットのような大型ケース。
うそ、すごい……!
思わず小走りに近づいてしまった。ケースの中には、小さなハンガーで一着一着丁寧に吊るされた洋服たち。カラフルなラックには、まるでセレクトショップのように綺麗に並ぶ衣装。
その種類の多さにも驚いた。アイビーリーグ系のトラッドファッションだけでなく、着物や甚平、カジュアル系……、え?
ええっ!? ちょっと待って……、
これって……!
目を見開く。
そこにあったのは私がコンベンションで販売した、ガーリーロリータファッションのワンピースたち。
淡いパステルカラー。たっぷりのフリルと繊細なレース。胸元のリボンや、小花柄の刺繍。まぎれもなく、私の手でデザインし、作り上げた服だった。
「……、大切に、してくれてる……」
思わず小さく言葉が漏れる。
どの服も他の衣装と変わらず、いや、それ以上に丁寧に保管されていた。心の奥が、じんわりと熱くなる。
あれ? でも……、私、大和に直接これを売ったこと、あったっけ?
胸の奥に、疑問とともに芽生える、淡い予感。彼は、いつから私の“作ったもの”を、知っていてくれたのだろう。



