彼は静かに語り始めた。幼い頃からずっと抱えてきた“秘密”の存在と、それにまつわる出来事の数々を。
彼の趣味、ピーターズファミリーとの関わり。その世界を愛することが、どれほど周囲の偏見にさらされることだったのか。それでも、大和は変わらなかった。
彼をからかう者、侮辱する者もいた。
けれど、そんな彼を庇い、受け入れてくれたのが“慶智の王子”たちと、彼らの家族である“大家族”だった。
『おまえはそのままでいい』
その言葉に、どれだけ救われたか分からない、と彼は微笑んだ。
そして大人になってから入会した、あるクラブ。名前は伏せたままだが、そこでも同じように理解ある仲間とグループを組んだという。ただ、数年後に入ってきたひとりの女性の存在で、すべてが少しずつ狂っていく。
最初はおとなしく、目立たなかったその女性。けれど、約一年半前から様子が一変。
彼らの行動に執着するようになり、不穏な空気を醸し出すように。
キラリ。
私は直感でその名前を思い出す。
クラブとの協力のもと、彼女の言動を記録し始めたという。最初はクラブの規約違反を証明するために。けれど春のコンベンションを境に、状況はさらに深刻化する。
肖像権侵害。そしてストーカーまがいの行動。彼の実家・烏丸家までもが動き、問題はようやく正式な調査段階に入る。
そしてその時、おじさまから『圭衣ちゃんに近づくな』と通達された、と。それは、大和が怒って私の元を去った、ほんの数日後のことだった。
キラリの危険性を重く見た烏丸家は、私の父──あの人に連絡を取り、すべてを報告した。しかし、あの人は判断したのだ。私には知らせない。何も教えない。そう決めた上で、烏丸家にも“黙っているよう”求めた。
私は……、何も知らされていなかった。
しかもその後の調査で、キラリは大和の勤務先・ミッドタウンオフィスビルの情報まで手に入れ、現地での挙動が怪しいと警備員からもマークされていたという。彼の恋人である“私”と、彼の“住居”を特定しようと、必死だったそうだ。
最終的に彼女の過去も明るみに出る。
過去に別件でストーキング行為を行い、問題視されていた。
その件を取りまとめたのは、弁護士の涼介先生だった。彼のおかげで、クラブ側はキラリに永久除名処分を下し、さらに二度と彼に近づかないという条件のもと、入院による治療という形で決着がついた。
そしてその直後、彼は私のもとを訪ねてきた……が、私はその大和を拒絶し、家から追い出した。
彼の瞳に、迷いと悔いがにじんでいた。
「あの日、僕が結婚を焦ったのは僕のエゴだった。もっと完璧に、あらゆるものから圭衣ちゃんを守りたかった。恋人のままでは、限界があると思ったんだ。でも、圭衣ちゃんにとって僕は“結婚の対象じゃない”って、勝手に思い込んで……」
一呼吸を置き、大和は続ける。
「……、つい、カッとなっちゃって。
圭衣ちゃんの話も聞かずに帰ってしまった。
だから、こんな大事になってしまったんだ」
そう言って、大和はふと立ち上がる。
ゆっくりと手を差し出して、私を見つめた。
「……、圭衣ちゃんに、見せたいものがあるんだ。こっちに、来てくれる?」
彼の趣味、ピーターズファミリーとの関わり。その世界を愛することが、どれほど周囲の偏見にさらされることだったのか。それでも、大和は変わらなかった。
彼をからかう者、侮辱する者もいた。
けれど、そんな彼を庇い、受け入れてくれたのが“慶智の王子”たちと、彼らの家族である“大家族”だった。
『おまえはそのままでいい』
その言葉に、どれだけ救われたか分からない、と彼は微笑んだ。
そして大人になってから入会した、あるクラブ。名前は伏せたままだが、そこでも同じように理解ある仲間とグループを組んだという。ただ、数年後に入ってきたひとりの女性の存在で、すべてが少しずつ狂っていく。
最初はおとなしく、目立たなかったその女性。けれど、約一年半前から様子が一変。
彼らの行動に執着するようになり、不穏な空気を醸し出すように。
キラリ。
私は直感でその名前を思い出す。
クラブとの協力のもと、彼女の言動を記録し始めたという。最初はクラブの規約違反を証明するために。けれど春のコンベンションを境に、状況はさらに深刻化する。
肖像権侵害。そしてストーカーまがいの行動。彼の実家・烏丸家までもが動き、問題はようやく正式な調査段階に入る。
そしてその時、おじさまから『圭衣ちゃんに近づくな』と通達された、と。それは、大和が怒って私の元を去った、ほんの数日後のことだった。
キラリの危険性を重く見た烏丸家は、私の父──あの人に連絡を取り、すべてを報告した。しかし、あの人は判断したのだ。私には知らせない。何も教えない。そう決めた上で、烏丸家にも“黙っているよう”求めた。
私は……、何も知らされていなかった。
しかもその後の調査で、キラリは大和の勤務先・ミッドタウンオフィスビルの情報まで手に入れ、現地での挙動が怪しいと警備員からもマークされていたという。彼の恋人である“私”と、彼の“住居”を特定しようと、必死だったそうだ。
最終的に彼女の過去も明るみに出る。
過去に別件でストーキング行為を行い、問題視されていた。
その件を取りまとめたのは、弁護士の涼介先生だった。彼のおかげで、クラブ側はキラリに永久除名処分を下し、さらに二度と彼に近づかないという条件のもと、入院による治療という形で決着がついた。
そしてその直後、彼は私のもとを訪ねてきた……が、私はその大和を拒絶し、家から追い出した。
彼の瞳に、迷いと悔いがにじんでいた。
「あの日、僕が結婚を焦ったのは僕のエゴだった。もっと完璧に、あらゆるものから圭衣ちゃんを守りたかった。恋人のままでは、限界があると思ったんだ。でも、圭衣ちゃんにとって僕は“結婚の対象じゃない”って、勝手に思い込んで……」
一呼吸を置き、大和は続ける。
「……、つい、カッとなっちゃって。
圭衣ちゃんの話も聞かずに帰ってしまった。
だから、こんな大事になってしまったんだ」
そう言って、大和はふと立ち上がる。
ゆっくりと手を差し出して、私を見つめた。
「……、圭衣ちゃんに、見せたいものがあるんだ。こっちに、来てくれる?」



