今夜、西園寺家では緊急で大家族が集まり、悠士兄ちゃんに関する話し合いが行われているはずだった。その場には、花村家のご両親も呼ばれている。
電話を終えた雅が、みんなの方へ向き直って話し始めた。
「ふぅー……、大家族から、涼介と紫道くんにもすべて伝えていいって了承もらった。まず紫道くん、君を巻き込んでしまって本当にすまなかった。そして涼介、おまえが圭衣ちゃんと紫道くんの法的サポート担当だ」
「了解した」
涼介は静かにうなずき、前屈みになってファイルの写真を見つめると、ふいに口を開いた。
「ちょっといいか? この女性、俺……、知ってる。うちが使ってるセキュリティー&サーチの事務員だ、この子」
「……、マジかよ」
雅が深いため息をつき、再びスマートフォンを手に取って連絡を取り始める。その間に、仁が圭衣ちゃんとの別れから今に至るまでの出来事を、涼介と紫道くんに順を追って説明し始めた。
話の飲み込みが異常に早い涼介の表情が、どんどん険しくなっていく。きっともう、頭の中では主犯の輪郭が見えているのだろう。あいつの眉間の皺が、明らかに深くなっていたから。
紫道くんは、仁の言葉を聞き終えるとゆっくりと深呼吸し、静かに言った。
「俺と圭衣が分かっていること、それから圭衣自身のことも伝えておきます」
今回の話し合いのことは、圭衣ちゃんも把握していた。紫道くんに、どこまで伝えるかの判断を委ねていたのだ。
仁の話と重なる部分も多かったが、ひとつ大きなことが分かった。この二人、紫道くんと圭衣ちゃんは、一連の騒動の主犯が悠士兄ちゃんだとすでに確信していたらしい。
そして、何より気になっていた圭衣ちゃん自身のこと。
引っ越し先が決まらず、今はマンションの更新すらできなくなっている。現在は、紫道くんの工房の2階に仮住まいしている。
Cool Beautyの経営からも手を引いており、アメリカへ戻ることも視野に入れている。
それは、自分のせいで葉子ちゃんや社員に迷惑をかけたくないから。
胸が、ぎゅっと締めつけられるようだった。
そんな中、紫道くんが九条仁に向き直り、確認するように問いかけた。
「一応確認です。九条社長、契約を破棄してこの店を撤去させる予定ですか?」
「そんなことしねぇよ。俺が君とこのショップを高く評価してるの、知ってるだろ? それに、この脅迫メッセージに関しては、俺も一切関わってねぇ」
「わかりました。ありがとうございます」
紫道くんは、ふっと微笑んでから、続けた。
「……、もし、皆さんの中に一人でも、これに関与している人がいたら、俺は圭衣を連れて、アメリカに戻るつもりでした」
その静かな決意を帯びた言葉に、胸の奥がざわついた。
圭衣ちゃんが、どんどん遠くへ行ってしまう気がして。
電話を終えた雅が、みんなの方へ向き直って話し始めた。
「ふぅー……、大家族から、涼介と紫道くんにもすべて伝えていいって了承もらった。まず紫道くん、君を巻き込んでしまって本当にすまなかった。そして涼介、おまえが圭衣ちゃんと紫道くんの法的サポート担当だ」
「了解した」
涼介は静かにうなずき、前屈みになってファイルの写真を見つめると、ふいに口を開いた。
「ちょっといいか? この女性、俺……、知ってる。うちが使ってるセキュリティー&サーチの事務員だ、この子」
「……、マジかよ」
雅が深いため息をつき、再びスマートフォンを手に取って連絡を取り始める。その間に、仁が圭衣ちゃんとの別れから今に至るまでの出来事を、涼介と紫道くんに順を追って説明し始めた。
話の飲み込みが異常に早い涼介の表情が、どんどん険しくなっていく。きっともう、頭の中では主犯の輪郭が見えているのだろう。あいつの眉間の皺が、明らかに深くなっていたから。
紫道くんは、仁の言葉を聞き終えるとゆっくりと深呼吸し、静かに言った。
「俺と圭衣が分かっていること、それから圭衣自身のことも伝えておきます」
今回の話し合いのことは、圭衣ちゃんも把握していた。紫道くんに、どこまで伝えるかの判断を委ねていたのだ。
仁の話と重なる部分も多かったが、ひとつ大きなことが分かった。この二人、紫道くんと圭衣ちゃんは、一連の騒動の主犯が悠士兄ちゃんだとすでに確信していたらしい。
そして、何より気になっていた圭衣ちゃん自身のこと。
引っ越し先が決まらず、今はマンションの更新すらできなくなっている。現在は、紫道くんの工房の2階に仮住まいしている。
Cool Beautyの経営からも手を引いており、アメリカへ戻ることも視野に入れている。
それは、自分のせいで葉子ちゃんや社員に迷惑をかけたくないから。
胸が、ぎゅっと締めつけられるようだった。
そんな中、紫道くんが九条仁に向き直り、確認するように問いかけた。
「一応確認です。九条社長、契約を破棄してこの店を撤去させる予定ですか?」
「そんなことしねぇよ。俺が君とこのショップを高く評価してるの、知ってるだろ? それに、この脅迫メッセージに関しては、俺も一切関わってねぇ」
「わかりました。ありがとうございます」
紫道くんは、ふっと微笑んでから、続けた。
「……、もし、皆さんの中に一人でも、これに関与している人がいたら、俺は圭衣を連れて、アメリカに戻るつもりでした」
その静かな決意を帯びた言葉に、胸の奥がざわついた。
圭衣ちゃんが、どんどん遠くへ行ってしまう気がして。



