実家から戻って二日後の夜──
僕は、ホテル9(クー)に向かっていた。
目的はただひとつ。紫道君から、オーダーしていた指輪を受け取るためだ。
たしか、彼から『話もある』と言われていた。何だろう、少し気になる。
話といえば、マンションに戻った日の夜、僕はバーVIPで雅と仁に会った。2人はすでに、それぞれの父親から今回の件を聞かされていたらしい。
特に雅は、おじさん──つまり現社長の父親から、京兄ちゃんに気をつけろと釘を刺されたそうだ。
今の時点で、京兄ちゃんが今回の一件に関与しているという確証は誰にもない。けれど京兄ちゃんと悠士兄ちゃんは、同い年で親友同士。しかも、同じ会社の社長と副社長という間柄だ。
だからこそ京兄ちゃんには、まだ何も知られてはいけない。この件は、絶対に“極秘”で進めなければならない。
仕事を終え、車でホテル9に向かう。
バレーパーキングに車を預け、館内のエレベーターで2階へ。紫道君のジュエリーブティックに入ると、彼がすぐに出迎えてくれた。
「こんばんは、大和さん。こちらへどうぞ」
柔らかな笑みとともに、店の奥の特別室へ案内される。
「ただいまお持ちいたしますので、少々お待ちください」
数分後、紫道君が、黒いベルベットのトレーに乗せたリングケースとファイルを携えて戻ってきた。
「どうぞ、ご確認ください」
そう促されてケースを開けると、そこには僕が注文した、いや、圭衣ちゃんがかつてデザインしたものとまったく同じ、あのリングが納められていた。
その美しさに、思わず息を呑む。
両サイドがインフィニティ♾️になっているローズカットのプラチナリングは、どこかアンティーク感を漂わせている。トレーからそっと取り出し、彼女の姿を思い浮かべながら、自分の左手の薬指に試しにはめてみる。
ラーラと同じウエディングドレスを着た美しい圭衣ちゃんが、この指輪をつけて微笑んでいる姿が脳裏に浮かび、思わず顔が綻ぶ。
ラーラのドレスといい、この指輪といい、圭衣ちゃんはアンティーク調が好きなのかな?
キリッとしたキャリアウーマン風も似合うが、可愛らしいレースとフリルのドレスも絶対似合うと、僕は思う。
いや、間違いなく似合う。
彼女の好きなものを、もっと知りたい。
そしてそのすべてを、大切にしたい。
この指輪はその第一歩だ。
僕は、ホテル9(クー)に向かっていた。
目的はただひとつ。紫道君から、オーダーしていた指輪を受け取るためだ。
たしか、彼から『話もある』と言われていた。何だろう、少し気になる。
話といえば、マンションに戻った日の夜、僕はバーVIPで雅と仁に会った。2人はすでに、それぞれの父親から今回の件を聞かされていたらしい。
特に雅は、おじさん──つまり現社長の父親から、京兄ちゃんに気をつけろと釘を刺されたそうだ。
今の時点で、京兄ちゃんが今回の一件に関与しているという確証は誰にもない。けれど京兄ちゃんと悠士兄ちゃんは、同い年で親友同士。しかも、同じ会社の社長と副社長という間柄だ。
だからこそ京兄ちゃんには、まだ何も知られてはいけない。この件は、絶対に“極秘”で進めなければならない。
仕事を終え、車でホテル9に向かう。
バレーパーキングに車を預け、館内のエレベーターで2階へ。紫道君のジュエリーブティックに入ると、彼がすぐに出迎えてくれた。
「こんばんは、大和さん。こちらへどうぞ」
柔らかな笑みとともに、店の奥の特別室へ案内される。
「ただいまお持ちいたしますので、少々お待ちください」
数分後、紫道君が、黒いベルベットのトレーに乗せたリングケースとファイルを携えて戻ってきた。
「どうぞ、ご確認ください」
そう促されてケースを開けると、そこには僕が注文した、いや、圭衣ちゃんがかつてデザインしたものとまったく同じ、あのリングが納められていた。
その美しさに、思わず息を呑む。
両サイドがインフィニティ♾️になっているローズカットのプラチナリングは、どこかアンティーク感を漂わせている。トレーからそっと取り出し、彼女の姿を思い浮かべながら、自分の左手の薬指に試しにはめてみる。
ラーラと同じウエディングドレスを着た美しい圭衣ちゃんが、この指輪をつけて微笑んでいる姿が脳裏に浮かび、思わず顔が綻ぶ。
ラーラのドレスといい、この指輪といい、圭衣ちゃんはアンティーク調が好きなのかな?
キリッとしたキャリアウーマン風も似合うが、可愛らしいレースとフリルのドレスも絶対似合うと、僕は思う。
いや、間違いなく似合う。
彼女の好きなものを、もっと知りたい。
そしてそのすべてを、大切にしたい。
この指輪はその第一歩だ。



