〜響心〜

勉強に必要なものをバックの中に詰め込んで、急いで家を出た。


電車に乗って、図書館の前に着くと入り口に葵が立っていた。


2人で図書館に入って勉強をしていた。


うっすら考えていたけど、嫌な感は当たるらしい。

顔がかっこよくて、さらに私服だ。

手足が長く、色素が薄めな彼によく似合う服を着ている。


そんなの目立たないわけがない。


『どうしたの?』


『うん、あ、なんでもない』


視線を落とすと彼の解いてある問題が目に入った。


『ここの問題分かんないんだよね』


友達がいなかった私は、放課後に遊びに行くことがなかったので勉強は得意なのだ。


教え合いながら勉強会は終了した。


『今日はいきなりごめん』『ありがとう』


『大丈夫だよ』『暇だったから』


『家まで送る』


『大丈夫だよ』


『僕が誘って来てもらったし、もう暗いから』『遅らせて』


首を縦に振った。歩きながら、会話をすることは難しいので話さずに歩いている。


でも、分かる。きっと葵は歩くスピードを合わせてくれている。クラックションなどが聞こえない私のために絶対に車道側を歩いて、信号などもきちんと確認してくれる。


家に帰りまた、葵のことを考えていた。


……………………『送らせて』


あの時胸が音を立てた。これは「好意」という気持ちなのか…?