〜響心〜

何週間かの練習期間を終えて、本番前の最後の練習だ。

リハーサルも兼ねて、体育館で行っているのを後ろから見ている。

見ていると、誰かが近づいてくる。


暗いのでよく見えないが近づくにつれて葵だとわかった。


舞台の裏仕事をやっているらしい。


通り過ぎる時、もしかしたらこれが最後かもしれない。もしかしたら、最後に話せるかもしれない。

「私、行く、から。」

久しぶりに自分の口から言葉を発した。


葵はびっくりした顔で見て、笑顔で頷いてくれた。


とても、嬉しかった。ちゃんとお別れできると思えた。