「由紀、お昼ご飯ってどうするか決めてる?」

「ううん、まだ決めてないのー」

翌日。長い午前授業を終えて、お昼休みの時間になった。

もし由紀が他の人とお昼を食べる約束をしていないのなら、一緒に食べてほしい。

……だって流石に、祐と私の祐への想いを知ってる梓と一緒に食べるのは、気まずい。時間が経てば慣れるんだろうけど、少なくとも、梓にカミングアウトしたばかりなのだから。

「もし良かったら一緒に食べない? っていうか、一緒に食べてほしい」

「いいよー! 他に一緒に食べる人いるの?」

「梓と、あとは去年同じクラスだったもう一人の友達」

「あー……島田さん、だっけ?」

「そう」

「私は良いんだけど……私が入って大丈夫? 島田さん気まずくない?」

「いや平気。……むしろ、前のままだと気まずいから、由紀がいてほしいの」

「……?」

由紀がちょっと不思議そうな顔をした。なんで気まずいのか、ということは口が裂けても言えなかった。

まあとりあえず、と由紀を誘って廊下に出る。祐と梓は、予定だと廊下で待ってくれているはずだ。

「やっほー。……」

「やっほー。あ、この子は由紀。合唱部で、私と同じクラスの子」

「……はじめまして」

「はじめましてー」

少し距離感を置いている(警戒してる?)由紀に対して、祐は、ほわほわといつも通りの雰囲気で接した。

……祐が他の子と話してるのを見るのは、ちょっと複雑だけど、致し方ない。由紀も梓も、あんまり恋愛に興味は無さそうだし、多分平気だろう。

そんな会話をしているうちに、梓がやってきた。私と祐を見て、ちょっと表情を固くする。

……あんまり顔に出さないでほしいなあ。