「優衣ちゃん!」

新しい教室で由紀と会うや否や、彼女は腕を広げてきた。

「良かった〜! ほんとに優衣ちゃんがいてくれて良かった!!」

「私も、由紀がいてくれて良かったよ。これでぼっちは回避できる」

「それはそうまじでそう」

再会の軽いハグをして、私たちは一旦冷静になった。

「とりあえず、体育館行く?」

「うん! あ、荷物置いてきていい?」

「いいよ。待ってるね」

ありがと、と言って由紀が離れたその隙に、私はある人にメッセージを送った。

ある人、と言ってもそんな大層な人じゃないけど。同じ部活仲間で、祐と私と三人組だった友達。

その子–––––––梓にただ一言、

『私、祐が好きみたい』

とだけ送って、スマホをポケットに突っ込んだ。