(……祐と違うクラス、か……)

一人小さく、ため息をついた。

私が自分の恋心に気づいたのは、つい十数分前の出来事。

仲の良かった友達と次のクラスを言い合って、祐–––––私の好きな人と違うクラスであることが判明して、それにどうしようもなく辛さを覚えて、ようやく気がついた。

(……どうりで祐と会えると嬉しくて、胸がくすぐったい、って思うわけだ)

もうすぐ始業式。でもその前に、自分の新しいクラスに行って荷物を置きに行かなければいけない。

もう、祐とはおはようを言えないんだ……いや、そりゃあ会えれば言えるんだろうけど、毎朝は言えないことが確定した。

すると、ふっと誰かが顔を覗き込んできた。顔を上げると、そこにはまさに私の想い人の顔があった。

「……っ!」

近い。距離が近い!!

ただでさえ人との距離感を気にする方なのに、相手が好きな人となれば、尚更だ。

「どうしたの? ぼーっとして」

「……い、いや……クラス離れるのか、って思って」

「なんだ、そんなこと?」

祐はそう言うと、明るく笑った。

「別に会える頻度が下がるだけで、前とほぼ変わんないよ。だってお昼はこれからも一緒に食べるんでしょ?」

「そうだけど……」

「じゃ、いいじゃん」

祐は、何をそんなに気にするんだ、と言わんばかりの顔をする。

祐にとっては「そんなこと」でも、私にとっては「そんなこと」じゃないんだよ……。

なんて、言えるわけもないから、「そうだね」としか言いようがなかった。