ツレナイ彼×ツヨガリ彼女

慶介はほとんどの時間を外回りに費やしていた。
慶介の部屋では理香子がリモートで仕事を進める。

上司の許可もありある程度仕事で必要な資料も、慶介の部屋に持ち込むことが許された。

「ただいま!」
慶介は外回りの合間に自分の部屋に戻る。
「理香子、おみやげ」
毎回何かかしらお土産だと言って食べ物を持ち帰る慶介。

理香子は慶介に申し訳ないと思いながらも、「今は甘えることが一番の薬だ」という慶介の言葉を信じて、甘える努力をしている。

忙しくて時間も無い慶介が、いつも息を切らして帰宅する姿に、理香子は愛しさがこみ上げた。

「これ、理香子好きだろ?」
不思議と慶介は理香子の好みを分かってくれている。
今日のお土産は大判焼きだった。

「クリームと粒あんと、こしあん。どれが好きだった?」
目を開きドキドキした表情で理香子に聞く慶介。
「・・・こしあん」
理香子も違うものだったらどうしようとドキドキしながら返事をすると
「やっぱりな」
と、無邪気な顔で理香子に大判焼きの入った紙袋を渡す慶介。
「お茶いれよ!」
と、キッチンへ向かう。
「私いれるから」
理香子がキッチンへ向かおうとすると「理香子はそれ冷めないようにしてて」と手にしている紙袋を指さす。

慶介はいつだってこうだ。
誰かが苦しくなりそうなとき、空気や思考を変える言葉や提案をできる。

人とかかわることが嫌いだと言っている慶介だが、本当は誰かのことを知ろうと努力をしたり、誰かのために自分には何ができるかをちゃんと考えて実現できる人だと理香子は知っている。