ツレナイ彼×ツヨガリ彼女

「迷惑かけるよ？」
「言うと思った。」
理香子の言葉に慶介はふっと笑いながら理香子の髪を撫でる。
「迷惑だったら、そばにいない。それ以上に俺が理香子のそばにいたい。いやだって言っても離れない。離れたくない」
「・・・慶介」
「ん？」
理香子は慶介がずっと握っていてくれた手を離した。

その行動に慶介は一瞬で不安に襲われる。

なんと返事が来るか、本当は不安で仕方ない。

「私も・・・離れたくない。」
最後まで言い切る前に涙声に変わった理香子。
理香子は両手を慶介に向って広げる。

慶介はやさしく微笑みながら、両手を広げる理香子の体をぎゅっと抱きよせた。

「一緒に進もう。」
「・・・うん」
「もう、一人にしない。」

私たちの関係に名前を付けるとしたら何だろうか。

ずっとわかってる。
お互いにひかれあっていることに。

今まで出会ったことのない存在であることも。

でも、今この関係に名前を付けたら、私は申し訳なさと罪悪感から消えてしまいたくなる。

慶介はすべてを分かって、自分の気持ちを押し付けるようなことはしないでくれている。
ただただ、手を伸ばせば握ってくれる。
両手を広げれば抱きしめてくれる。

それだけで、心から救われる。

理香子は慶介に抱きしめられながら、素直に離れたくないと口にできた自分に驚いていた。
そこまでも、慶介を手放したくない。
こんなに強く誰かを想うのも欲しがるのも初めてだった。