ツレナイ彼×ツヨガリ彼女

深夜、目を覚ますたびに自分をやさしく見つめる慶介がいた。
つないだ手の温かさと、その温かなまなざしに、何度も安心してもう一度眠ることができる。

あたりが明るくなって目が覚めた時も、慶介は同じように理香子に寄り添ってくれていた。

「おはよう」
「おはよう」
慶介は理香子の顔にかかる髪を撫でる。
「目、腫れてる。本当は冷やしたかったけど、起こしたくなかったから。」
やさしく微笑む慶介に理香子はふっと微笑む。

「ありがとう」
まっすぐに慶介を見つめる理香子の瞳はまた少しうるんでいる。
「理香子」
「ん?」
「俺たちの関係に名前を付けたい」
慶介の言葉に理香子は驚いて目を丸くする。

「でも、今俺がその言葉を言えば理香子はきっと、俺に遠慮して頷いてくれないだろ?」

慶介には理香子の気持ちが手に取るようにわかってしまう。

今の自分には慶介には負担しかあげられない。
今慶介が気持ちを伝えてくれても理香子は応じられないと、慶介の言葉に瞬時に考えていた。

「今は言わない。でも、そばにいさせてほしい。」
「・・・」
「俺がそばにいたいんだ。」
「・・・」
理香子はそっと体を起こす。
すぐに慶介は理香子の背中に手をまわして起き上がるのを手伝う。