ツレナイ彼×ツヨガリ彼女

誰かにやさしくすることは苦手だ。
やさしくすればつけあがる。
やさしさに甘えて、どんどんとそれ以上のやさしさを求め始める。

人とかかわることは苦手だ。
大切にしたい人ほど、大切にできない。

母を亡くしたあの日が目に今もやきついて離れない。

大切だと思えば思うほど失うことが怖くなり、距離を近づけない。

~♪
その時慶介の携帯電話が鳴りだして慶介はなんとなく嫌な予感がして画面をスライドした。
「理香子?」
『・・・』
「理香子?」
あたりの音が騒がしい。
「どうした?理香子?」
何度呼びかけても理香子の返答がない。
間違って連絡してきたのとは違う。
慶介はなぜか確信していた。

「理香子、今どこにいる?今から行くから、場所、言えるか?」
今まで自分でも聞いたことがないくらい動揺した声が出る。
それでもできるだけやさしく声をかける。

こんな風に話しかけるのは理香子以外いない。
理香子にだって、こんなにやさしく語りかけることはめったにない。

『たす・・・け・・』
とぎれとぎれに聞こえたその声に、慶介はすぐに鞄を持ち会社のフロアを飛び出した。