「大きくなったな。」
少しかすれた声の慶介の父は、口に酸素マスクをつけて、弱々しく話始めた。
「彼女か?」
「違います」
敬語でそっけなく返事をする慶介。
「そっか。彼女じゃないのか。慶介、すまないな。」
「え?」
「悪かったな」
「何がですか」
「・・・いい父親じゃなかったな。」
病室のまで今の慶介の母から聞いた話で覚悟をしていた慶介。
父がちゃんと記憶がある状態であることに驚きながら顔を上げた。
「自分のしたことは自分にちゃんと返ってくるんだ。いいことも悪いことも。」
「・・・」
「母さんのこと・・・悪かったな。」
少し声を震わせる父に慶介は理香子の手を握る力を強める。
「それを言うのは、俺にじゃないでしょ。」
絞り出した言葉に、慶介の今の母が言葉をはさむ。
「あなたのお父さんは、毎年あなたのお母さんの命日にお墓に手をあわせに行っていたのよ。」
「・・・」
少しの間沈黙が病室を包む。
その沈黙を破ったのは慶介だった。
「知ってます。母さんの好きな花が毎年毎年、お墓に手向けられてることくらい、気づいてました。それが誰からの物なのかも。」
恨みきれなかった。
憎しみ切れなかった。
軽蔑しきれなかった。
毎年毎年、母の好きな色の母の好きな花が手向けられているのを見るだけで、父の想いが説明できないのに伝わってくる。
親子の縁は切っても切れないのだと、慶介は思い知るのが母の命日だった。
少しかすれた声の慶介の父は、口に酸素マスクをつけて、弱々しく話始めた。
「彼女か?」
「違います」
敬語でそっけなく返事をする慶介。
「そっか。彼女じゃないのか。慶介、すまないな。」
「え?」
「悪かったな」
「何がですか」
「・・・いい父親じゃなかったな。」
病室のまで今の慶介の母から聞いた話で覚悟をしていた慶介。
父がちゃんと記憶がある状態であることに驚きながら顔を上げた。
「自分のしたことは自分にちゃんと返ってくるんだ。いいことも悪いことも。」
「・・・」
「母さんのこと・・・悪かったな。」
少し声を震わせる父に慶介は理香子の手を握る力を強める。
「それを言うのは、俺にじゃないでしょ。」
絞り出した言葉に、慶介の今の母が言葉をはさむ。
「あなたのお父さんは、毎年あなたのお母さんの命日にお墓に手をあわせに行っていたのよ。」
「・・・」
少しの間沈黙が病室を包む。
その沈黙を破ったのは慶介だった。
「知ってます。母さんの好きな花が毎年毎年、お墓に手向けられてることくらい、気づいてました。それが誰からの物なのかも。」
恨みきれなかった。
憎しみ切れなかった。
軽蔑しきれなかった。
毎年毎年、母の好きな色の母の好きな花が手向けられているのを見るだけで、父の想いが説明できないのに伝わってくる。
親子の縁は切っても切れないのだと、慶介は思い知るのが母の命日だった。



