ツレナイ彼×ツヨガリ彼女

「結城さん」「結城」「結城さ~ん」

出張から戻ったその日、会社に戻った二人。
部署の社員たちは次々に待っていましたとばかりに理香子に声をかけた。

慶介は出張でたまった資料作りや記録作成を進めている。
隣の机に次々に近づき、留守中にあった伝言や、仕事の質問、今困っていることの相談など次々に理香子に声がかかる。

少しずつ理香子の顔が疲れてきて、夕方には再び真っ青な顔に戻っていた。

「お前さ、もう少し断ること覚えれば?」
「え?」隣の机からかかる言葉に、理香子が振り向く。

「そんなに抱えたって、ひとりで消化できないだろ。今、お前ひどい顔色だぞ。」
「・・・」
珍しく言い返さない理香子。
相当疲労がたまっているはずだ。

「俺が断ろうか?」
「やめて。」
慶介は少し苛立っていた。

平気じゃないくせに平気な振りをして、どんどんと背負っていく。
そんな理香子を見ていると苛立ってくる。

「結城さん」
周りの社員も、理香子が明らかに調子悪そうな顔色をして、胃のあたりをしきりにさすっているのに、どうして気づかないのだろうかと慶介はほかの社員にも苛立ってきていた。