ツレナイ彼×ツヨガリ彼女

人と関わるのが嫌になったのには訳がある。
何もなかったらこんな人間にはなっていなかっただろうと自分で思う。

慶介は嫌な思い出を思い出していた。

父は恋多き人だった。
母という存在があっても、常にだれかほかの女性の影があるような人だった。

平気な振りをして母はいつだって傷ついていたんだ。

母はあっけなく慶介が中学3年生の時に亡くなった。
慶介が部活から帰宅した時、いつもついているはずの明かりが消えていた。

母は専業主婦で、いつも慶介が帰宅するのは明かりのついた家だった。
お腹がすけば手作りのおいしいご飯や、おやつを出してくれる。
部活が終わって帰宅すると、いつだって夕飯のいいにおいが待っていた。

その日は明かりもついておらず、夕飯のいいにおいもしなかった。

母はひとり、、自ら命を絶っていた。

葬儀の時ですら、知らない女性ばかり顔を見せた。
父は母が亡くなってひと月もしないうちに、家に知らない女性を連れ込み、2か月後には再婚していた。