ツレナイ彼×ツヨガリ彼女

たった一日。
今まではひとりでやりたいように仕事をしていたのに、たった一日理香子が隣に居ないだけで慶介は大きな忘れ物をしているような違和感に襲われていた。

「目覚まし、ちゃんとかけてよね？」
理香子の言葉に「わかってる」そう返事した慶介は柔らかく微笑む。

「あのさ、調子狂うんだけど？」
「なにが」
「なんか、最近キャラ変わりすぎてない？」
「ばか。んなことないだろ」
理香子の言葉は図星だ。

自分でもキャラが変わっていると自覚している慶介。
ストップをかけたくてもかけられない。

「寝坊するなよ！」
笑いながら慶介に言う理香子に「ちゃんと薬飲んでねろよ？」と慶介も返す。
2人はひらひらと手を振りあった。

理香子が部屋の中に入るのを見守ってから慶介は自分の部屋の扉を閉めた。
渡された袋の中を見ると『ありがとう！借りは返した！』と理香子のメモが入っていて、思わず笑う慶介だった。