ツレナイ彼×ツヨガリ彼女

「なんで目覚ましかけてないのよ!」
「それどころじゃなかったんだよ!わかるだろ?」
「ちょっ!人のせいにしないでよ!」
ばたばたとしているホテルの一室。

まさかの目覚ましをかけ忘れた慶介は、たまたま目を覚ました理香子にたたき起こされた。

「昨日ちょっとかっこいいとか思った私がばかだったわ。」
小言を言いながら慶介の部屋であれこれ理香子は支度を手伝うはめにあっていた。
「俺に惚れるなよ?」
冗談を言いながらも慶介はばたばたと寝ぐせを直している。

「今からホテル出るならタクシーじゃないと間に合わないかも。」
理香子は携帯であれこれ検索をかけながら慶介にネクタイを渡す。
慶介は何も気を遣うことなく、理香子の前でスーツに着替えをしている。
「なんでこんなに朝に弱いのよ。」
ぶつぶつ言う理香子に、慶介はふっと笑う。
「お前、元気になったな。昨日より。」
「・・・まぁね。私も行こうか?」
慶介の方を見る理香子。
まだ顔色は悪いが昨日よりはずいぶんといい。
「ばか。今日はゆっくりしてろ。」
慶介は自分の支度をしながら立ったままうろうろとしている理香子の肩を押してベッドに座らせた。
「座ってろ。」
理香子を座らせてから慶介はばたばたと自分のバックに資料を詰め込む。

「悪い、これどうにかしといて」
慶介はそう言って床やらベッドの上の散らかったものに視線を向けた。
「了解」
慌ただしく慶介は部屋の扉へ向かう。
「行ってきます」
めずらしく理香子の方に見て手を振る慶介。
理香子も手をひらひらと振りながら「行ってらっしゃい」と送り出すのだった。