ツレナイ彼×ツヨガリ彼女

「貸しだぞ、これ」
慶介はそう言って咄嗟に落ちそうになったペットボトルをキャッチするとベッドのサイドボードに置く。
「ほら」
そう言ってベッドに横になっている理香子の背中に手をまわして座らせてくれた。

「・・・ごめんね」
申し訳なくなって理香子はいたたまれない表情をする。
「ありがとうだろ」
慶介は理香子の体を簡単に起こすと、自分の体を使い理香子を背中側から支える。
そしてサイドボードに置いた水の蓋を開けて理香子の口元に近づけた。
理香子は力なく慶介の手の上からペットボトルに触れる。
そのまま慶介は慎重に理香子の口にペットボトルを近付けて、水を飲ませた。

「ありがと。」
水を飲み終えた理香子。
今はいつものように慶介に強がる気力も体力もないようだ。
「新鮮だな。おとなしい結城。」
言葉とは裏腹に、優しくそっと理香子の体を再びベッドに寝かせる慶介。
「・・・ふっ・・・」
理香子は小さく弱々しく微笑んだ後すぐに目を閉じて眠ってしまった。

慶介は理香子の寝顔を見つめながら、自分の気持ちにようやく気付いたのだった。

俺・・・明らかに理香子を意識してる。
そして・・・明らかに・・・惹かれている。

・・・と。