ツレナイ彼×ツヨガリ彼女

「もしかして、私のこと助けたのってあんた?」
ツヨガリ彼女がツレナイ彼を強い視線で見つめる。
「なんのこった?」
とぼけた顔のツレナイ彼に、ツヨガリ彼女はため息をつく。
「んなわけないわよね。忘れて。」

ツヨガリ彼女は一気に緊張や恐怖から解放されてその場にしゃがみこんだ。

視線が下がったツヨガリ彼女に見えないように、ツレナイ彼は電車の窓から、ホームに取り残されたうるさい男に冷たく鋭い視線を向けた。

「おい、パンツ見えんぞ?」
頭上からふってきたその言葉に、ツヨガリ彼女は顔を上げる。
「嘘」
ツレナイ彼の言葉にため息をつきながらツヨガリ彼女は再びしゃがんで頭を抱えた。
「真っ青」
「うるさい」
「怖いならやめればいいのに」
「放っておいて」
「頼ってもいいよ?」
「無理」
「甘え上手は愛され上手」
「あなたに愛されたくありません」
「言うねー」
「どっか行ってよ」
「無理」
「なにが?」
「…なんでだろ」
「ってあんた見てたの?さっきの」
ツヨガリ彼女が顔をあげるとツレナイ彼はふっと笑いながら「さぁ?」ととぼけた。