ツレナイ彼×ツヨガリ彼女

誰かがやればいい仕事だ。
届いた荷物をわざわざひとりで、しかも部署の中でも一番と言っても過言ではない量の仕事を抱えている理香子が運ぶことはない。
誰かに女という武器を使って運ばせることだってできるだろう。

エレベーターに向かいながら理香子の机の上にまだまだ終わらなさそうな仕事が山積みだったことを思い出す。

エレベーターホールにはまだ段ボールが重ねられていた。
きっと理香子はもう一度ここへきて重そうなこの段ボールを抱えてオフィスに戻るはずだ。
その間にも誰かに仕事のフォローをお願いされるかもしれない。
いったいいつになったら理香子は帰れるのだろうか。

そんなことを考えているといつの間にか段ボールの目の前に立っていた。

何をしているのだろうかと慶介ははっと我に返る。
面倒なことは嫌いだ。
効率よく仕事をこなして、成績を上げてそれなりの評価をもらい生活できればいい。

余計なことを考えたり、余計なことに時間をかけるのは無駄だ。