ツレナイ彼×ツヨガリ彼女

退勤の処理をして、上司に「お疲れさまでした」とそっけなく挨拶をして帰宅しようとする慶介を上司が呼び止めた。
「片桐、明日の歓迎会、参加しろよ？」
「すみません、そういうの苦手なんで」
「明日はそこで発表もあるから。業務の一環だと思って参加してほしいんだ。」
「・・・すぐ帰りますよ？」
「了解。食べて飲んで、仕事の話だけしたら帰ってもいいから。たまにはな。」
いつもは会社の飲み会関係はパスする慶介。
それを上司がわざわざ誘ってくるのは珍しい。
「じゃ、お先に失礼します。」
慶介はそっけなく挨拶をして再び帰宅しようとオフィスの扉へ向かった。

『バタンッ』
慶介が扉を開けようとするのと同時に反対側から扉が開いて、慶介は一歩下がる。
「すみません、お疲れさまでした。」
大きな段ボールを重ねて歩いてきた人物は、段ボールに隠れて姿がほとんど見えない。
しかしその声を聞いただけで慶介は相手が理香子だとわかる。
「お疲れ」
段ボールが通り過ぎるのを待ってから慶介は扉を出た。