ツレナイ彼×ツヨガリ彼女

第１章 理解できない

「あのっ！」
あーまたやってしまった…。見て見ぬふりをしようと思ったのに…できなかった。
ここまで声を出してしまったらもう後戻りはできない。
「なんですか？」
振り返った男の背の高さに圧倒される。
「嫌がってますけど。」
「関係ないでしょう」
うっすら笑いながら返事を返す男は明らかに声を出してしまったツヨガリ彼女を見下している。
気持ちで負けたらやられる。
本能がそう言ってる。

ツヨガリ彼女は震える足を隠しながら
「嫌がってるって言ってんでしょ？」
「あんたに関係ないだろ」
「みっともないですよ？」
ツヨガリ彼女はおびえる女の前に立ち、後ろ手でその場を離れるように合図する。

「おいっ！」
女が離れるのに気づいた男が目の前に立ちはだかるツヨガリ彼女を押しのけて追いかけようとするのをツヨガリ彼女は全力で止めた。
「触んなっ！」
男が強い力でツヨガリ彼女を押そうとするがツヨガリ彼女は足を踏ん張り阻止する。

このあとどうしようかと思考を巡らせる余裕などなかった。