雫「つい買いすぎちゃったね」
凪「昔だったら絶対1回で500円も使わなかったもんね~夢が詰まってる」
無邪気に笑う凪は「そして~」ともったいぶりつつ、袋から3個1セットのガムを取り出して雫に披露する。
凪「じゃーん!」
雫「それってあの、すごく酸っぱいガムが1つだけ入ってる……?」
凪「まさしく。ほら、4人だと誰かが参加できないから。やるなら今かな、と」
雫「今は今で1人足りないけどね」
凪「確率3分の1でしょ?どっちかが引くよ~」
小さい子どものように瞳を爛々と輝かせる凪はパッケージを開け、まず雫に1つ選ばせてから自分も1つ手に取る。
凪「いっせーので!」
その合図で同時に勢いよくガムを口にした凪と雫は、段々と真顔になっていく。
雫「あま、い?」
凪「俺も甘い……」
お互いのコメントに顔を見合わせた2人はゴクリと息を飲み込み、残った1つのガムに視線を注ぐ。
雫「ということはこれが」
凪「よしっ。帰ったらめいにあげよう!」
雫「ええっ」
何事もなかったかのようにケースごと袋に戻す凪は、次はどれを食べようかと吟味する。その明るい横顔に雫は安堵する。
雫(凪くんも楽しんでくれてるようでよかった)
雫(――今この瞬間は、凪くんの隣は私のもの。ほかの誰でもない、私しか知らない彼がここにいる)
2人きりでいることを改めて実感した雫は嬉しさのあまり凪を直視できない。と、そのとき、凪が「ねぇねぇしずく」とふんわりとした調子で口を開く。その指先には指輪型の飴が摘まれている。
凪「はい、これ。素敵な寄り道に誘ってくれたお礼」
雫「わ~いいの!?昔よく買ってたなあ」
凪「でしょ?改めて見るとかわいいよね」
凪はそう言うと、雫の左手を掬い取りリングの部分をそっと指にはめる。しかしここでも天然を発動した凪は、あろうことか薬指に指輪をフィッティングしていた。
雫「な……っ!?」
雫(なぜ左手薬指!?)
思わぬ展開に声にならない悲鳴を上げ、ボンっと顔から湯気を出す雫と、完全に無自覚なため雫がゆでダコと化したのに驚く凪。
◯その頃・ショッピングモール
アイドリの世界観に合わせて装飾された店内で二人掛けの席に着いた蕾はテンションマックスで鼻息を荒くする。
蕾「はわ~~っ!!!!」
明「すげえ、これがいわゆるコラボカフェか」
蕾「長年凄まじい人気を誇るアイドリのコラボカフェが、ようやく我が県においでなすった……!」
明「だからちょっと遠い映画館選んだのな」
蕾の向かい側に腰を下ろす明はメニューを開く。
明「本当にこれ全部キャラカラーと関係したメニューなのな」
蕾「それが醍醐味!因みにそれぞれキャラクターの好物になってるの」
明「俺の桃綺はどこ?」
蕾「もうすっかり魅せられてんじゃん」
頭を突き合わすようにしてメニューを覗き込む2人を、周りの女性客達が微笑ましく見守る。
女性客①(男の子がいる。かわよ)
女性客②(コラボカフェデートとか尊いの極みでしょ)
女性客③(純粋に羨ましい)
ほっこりとした視線を浴びる中、ドリンクメニューを見ていた明がギョッと目を目を見開く。信じられないといった風に震える明の指先は碧のイラストが添えられた緑色の液体の写真を指している。
明「お前の推しってメンカラ水色だよな?なんでコラボドリンク青汁??」
蕾「碧くんの好物だから」
明「いや、おもっくそ緑じゃん。水色の欠片もねーじゃん」
蕾「『青』汁だよ。『青』汁」
明「めっちゃ強引……ってどうしたどうした」
メニュー表から顔を上げた明は、深刻な面持ちで頭を抱え込む蕾の面白いぐらいに悩ましげな様子に驚く。
蕾「一品注文に付きコースターがランダムで1つ、ドリンクの場合は更にプラスでそのキャラのストローチャームが貰えるんだけどね」
明「ほう」
蕾「私、青汁飲めないのね……」
明「あ~」
明は心底納得したように深く頷く。
蕾「いくら推しのためとはいえフードロスはダメ絶対じゃん?まあほぼ箱推しだからぶっちゃけ誰でも嬉しいというのはほんとにそうなんだけどもやっぱりね」
明「長くなりそうだからとりあえず注文!すみませーんっ」
長引きそうな蕾の話を上手く捌いた明は近くにいた店員を呼び止める。
店員「お決まりですか?」
蕾「えーと、じゃあこれとこれで」
蕾(料理は碧くんのだから十分よね)
明「俺はこれと、あと『碧特製良薬は口に苦し!?青汁』で」
蕾「んえ!?」
注文を取り終わった店員が離れていく中、蕾は思わず身を乗り出してパクパクと口を開閉させる。
蕾「なっ、え、い、いいの……?」
明「俺別に青汁飲めるし。それにできる幼馴染なんで☆」
蕾「ほんっとにありがとううううう」
お茶目にウインクをする明の腕にすがりついて涙する蕾。
明「そういえば碧のコラボフードってなんなん?」
蕾「『碧のこだわりグリーンかれー』」
明「もうメンカラ緑にすりゃあいいじゃん」
蕾「緑色は既に先輩が背負ってる」
明「じゃあアイデンティティ皆無じゃん。余計に意味わからんじゃん」
そうこう言っているうちに運ばれてきた見栄えの良い料理に、2人は「おお~っ!」と素直に歓喜の声を上げる。
嬉しそうに写真を撮り、碧のストローチャームを手にする蕾を明は満足げな表情で見守る。
凪「昔だったら絶対1回で500円も使わなかったもんね~夢が詰まってる」
無邪気に笑う凪は「そして~」ともったいぶりつつ、袋から3個1セットのガムを取り出して雫に披露する。
凪「じゃーん!」
雫「それってあの、すごく酸っぱいガムが1つだけ入ってる……?」
凪「まさしく。ほら、4人だと誰かが参加できないから。やるなら今かな、と」
雫「今は今で1人足りないけどね」
凪「確率3分の1でしょ?どっちかが引くよ~」
小さい子どものように瞳を爛々と輝かせる凪はパッケージを開け、まず雫に1つ選ばせてから自分も1つ手に取る。
凪「いっせーので!」
その合図で同時に勢いよくガムを口にした凪と雫は、段々と真顔になっていく。
雫「あま、い?」
凪「俺も甘い……」
お互いのコメントに顔を見合わせた2人はゴクリと息を飲み込み、残った1つのガムに視線を注ぐ。
雫「ということはこれが」
凪「よしっ。帰ったらめいにあげよう!」
雫「ええっ」
何事もなかったかのようにケースごと袋に戻す凪は、次はどれを食べようかと吟味する。その明るい横顔に雫は安堵する。
雫(凪くんも楽しんでくれてるようでよかった)
雫(――今この瞬間は、凪くんの隣は私のもの。ほかの誰でもない、私しか知らない彼がここにいる)
2人きりでいることを改めて実感した雫は嬉しさのあまり凪を直視できない。と、そのとき、凪が「ねぇねぇしずく」とふんわりとした調子で口を開く。その指先には指輪型の飴が摘まれている。
凪「はい、これ。素敵な寄り道に誘ってくれたお礼」
雫「わ~いいの!?昔よく買ってたなあ」
凪「でしょ?改めて見るとかわいいよね」
凪はそう言うと、雫の左手を掬い取りリングの部分をそっと指にはめる。しかしここでも天然を発動した凪は、あろうことか薬指に指輪をフィッティングしていた。
雫「な……っ!?」
雫(なぜ左手薬指!?)
思わぬ展開に声にならない悲鳴を上げ、ボンっと顔から湯気を出す雫と、完全に無自覚なため雫がゆでダコと化したのに驚く凪。
◯その頃・ショッピングモール
アイドリの世界観に合わせて装飾された店内で二人掛けの席に着いた蕾はテンションマックスで鼻息を荒くする。
蕾「はわ~~っ!!!!」
明「すげえ、これがいわゆるコラボカフェか」
蕾「長年凄まじい人気を誇るアイドリのコラボカフェが、ようやく我が県においでなすった……!」
明「だからちょっと遠い映画館選んだのな」
蕾の向かい側に腰を下ろす明はメニューを開く。
明「本当にこれ全部キャラカラーと関係したメニューなのな」
蕾「それが醍醐味!因みにそれぞれキャラクターの好物になってるの」
明「俺の桃綺はどこ?」
蕾「もうすっかり魅せられてんじゃん」
頭を突き合わすようにしてメニューを覗き込む2人を、周りの女性客達が微笑ましく見守る。
女性客①(男の子がいる。かわよ)
女性客②(コラボカフェデートとか尊いの極みでしょ)
女性客③(純粋に羨ましい)
ほっこりとした視線を浴びる中、ドリンクメニューを見ていた明がギョッと目を目を見開く。信じられないといった風に震える明の指先は碧のイラストが添えられた緑色の液体の写真を指している。
明「お前の推しってメンカラ水色だよな?なんでコラボドリンク青汁??」
蕾「碧くんの好物だから」
明「いや、おもっくそ緑じゃん。水色の欠片もねーじゃん」
蕾「『青』汁だよ。『青』汁」
明「めっちゃ強引……ってどうしたどうした」
メニュー表から顔を上げた明は、深刻な面持ちで頭を抱え込む蕾の面白いぐらいに悩ましげな様子に驚く。
蕾「一品注文に付きコースターがランダムで1つ、ドリンクの場合は更にプラスでそのキャラのストローチャームが貰えるんだけどね」
明「ほう」
蕾「私、青汁飲めないのね……」
明「あ~」
明は心底納得したように深く頷く。
蕾「いくら推しのためとはいえフードロスはダメ絶対じゃん?まあほぼ箱推しだからぶっちゃけ誰でも嬉しいというのはほんとにそうなんだけどもやっぱりね」
明「長くなりそうだからとりあえず注文!すみませーんっ」
長引きそうな蕾の話を上手く捌いた明は近くにいた店員を呼び止める。
店員「お決まりですか?」
蕾「えーと、じゃあこれとこれで」
蕾(料理は碧くんのだから十分よね)
明「俺はこれと、あと『碧特製良薬は口に苦し!?青汁』で」
蕾「んえ!?」
注文を取り終わった店員が離れていく中、蕾は思わず身を乗り出してパクパクと口を開閉させる。
蕾「なっ、え、い、いいの……?」
明「俺別に青汁飲めるし。それにできる幼馴染なんで☆」
蕾「ほんっとにありがとううううう」
お茶目にウインクをする明の腕にすがりついて涙する蕾。
明「そういえば碧のコラボフードってなんなん?」
蕾「『碧のこだわりグリーンかれー』」
明「もうメンカラ緑にすりゃあいいじゃん」
蕾「緑色は既に先輩が背負ってる」
明「じゃあアイデンティティ皆無じゃん。余計に意味わからんじゃん」
そうこう言っているうちに運ばれてきた見栄えの良い料理に、2人は「おお~っ!」と素直に歓喜の声を上げる。
嬉しそうに写真を撮り、碧のストローチャームを手にする蕾を明は満足げな表情で見守る。



