鏡映しのマリアージュ

明「あ、おてんばフェアリーのお出ましだ」
蕾「なによ藪から棒に……ってあ~!ゲームやってる!!いいなあああ」

蕾は心底羨ましそうに2人のもとに駆け寄ると、トスンと明の横に腰を下ろす。

蕾「今どういう状況?」
雫「剣士が実は敵の差し金だったのが判明したところ」
凪「え、なにそれ。絶対悲しき過去抱えてるパターンじゃん」

荷物を母に預けた凪までゲームに食いついて、雫の隣にぎゅむっと腰を下ろす。
蕾「それで結局真の仲間になって結束力上がるまでがセットね」
明「全部予想すんなよな、てか狭い!4人はさすがに狭い!」

ぎゅうぎゅうと肩を押し付け合いながら勉強そっちのけでワイワイ盛り上がる3人に、明は仕方なさそうに眉根を下げる。

明(意外と子どもっぽいんだよなこいつら……)

そう思いつつも、一番笑みを溢しているのは明だったりする。

明「あー!たーのしっ!!」

急に大声を出した明の白い歯を見せた快活な表情に、残りの3人も思わず吹き出す。

明(この4人でいるとどんな些細なこともたちまち宝物に変身する。ここが俺の居場所だと胸を張れる。この先もずっと大好きな3人と大好きな瞬間を共にしたい、心底そう思う)

明るい音に包まれる家の上を、流れ星が誰の目に留まるでもなく、一筋弧を描いて通過していく。

◯後日・優木家

明「おかげさまで全教科赤点回避っ☆」

得意げにピースをして喜ぶ明に他の3人は胸を撫で下ろす。

凪「本当によかった…」
蕾「やればできるじゃん」
雫「これで修学旅行に行けるね」
明「おうっ!3人ともありがとなっ!!」

ガバリと勢いよくお辞儀をする明に、蕾は「あ」と不意に口を開く。

蕾「明、今度の土曜日空いてる?」
明「一日中フリー」
蕾「じゃあその日でいい?映画観に行くの」

蕾がそう言った瞬間、凪の爽やかな顔からみるみる血の気が引いていく。

凪「え、えいが?ふたりで??」

茫然自失とする凪を、雫が心許なく見つめる。