涙の向こう側


そして、上谷先生の自宅は、上谷先生のクリニックから目と鼻の先にある駅近のマンションだった。

その7階の703号室に入って行く上谷先生と、そのあとに続くわたし。

「今日から吹田さんの家でもあるんだから、自由に使ってね。あ、でもベッドを買い足さないとなぁ。それまでは、俺のベッド使って?」

リビングに入り、オレンジ色の夕日の光が差し込む窓のカーテンを閉めながら上谷先生は言った。

「いえ、わたしソファーで大丈夫です。」
「え?気使わなくていいんだよ?」
「そうじゃなくて、、、ソファーの方が寝れたりするんです。いざ眠くなって布団に入ると、寝れなかったりして、、、」
「あぁ、、、それ分かる。俺も不眠症だった時そうだったなぁ。じゃあ、、、本当にソファーでいいの?」
「はい、ソファーの方がいいです。」

そんな会話をしたあと、夕食はどうしようか?という話になった。

正直、食欲はない。

すると、食欲がないのは上谷先生も一緒だった。

「俺もしばらくまともに食事を摂ってないんだ。でも何か食べないとって、カロリ◯メイトとゼリー飲料が俺の主食になってるよ。」

上谷先生はそう言って笑った。

「じゃあ、、、わたしもそうします。」

そして、わたしたちは二人でカロリ◯メイトを頬張った。

何だか不思議な夕食。

上谷先生は「口の中パサパサになるから、たまに烏龍茶飲んでね!」とコップに烏龍茶を注いでくれた。