涙の向こう側


「ここに入院してたんですね。あれ以来、受診してなかったので気になってたんです。」

うえや先生は、わたしの横にしゃがみ込みそう言った。

「わたし、、、死ねなかったんです。失敗したんです。」
「薬、、、たくさん飲んじゃったんですか?」

うえや先生の言葉にわたしは頷き、それから「先生は、何でここに?」と訊いてみた。

「僕は月1でここの病棟のカウンセラーとして来てるんです。それが今日で、偶然吹田さんを見掛けたので、声を掛けさせてもらいました。」
「そうだったんですね。」
「良かったら、僕とお話しませんか?こないだ、話せなかったので。」

うえや先生はそう言うと、首から下げていた名札をわたしに見せ、「今日はカウンセラーの上谷優作です。よろしくお願いします。」と言った。

それから、わたしは上谷先生と共にわたしの病室に移動した。

わたしはベッドに座り、上谷先生はベッドの側に丸椅子を持って来て座った。

「吹田さん、話せる範囲で良いので、心が砕けてしまった理由を話していただけますか?」

上谷先生がそう言うので、わたしは半年前の事を話した。

最愛の夫を亡くしたこと。
夫が亡くなったのをわたしのせいにされたこと。
そのショックから流産したこと。

上谷先生はわたしの話をながら、涙を流していた。

わたしは泣いていないのに、なぜあなたが泣くの?