涙の向こう側


「明人、、、」

ふと目を覚ますと、目の前に優作さんの姿があった。

「あ、優作さん。おかえりなさい。」

わたしはそう言って、ソファーから身体を起こした。

そして、頬に何か違和感を感じる。

頬に触れてみると、触れた指先が濡れていた。

「泣けるようになったね。」

優作さんはそう言うと、切なげに微笑んだ。

え、、、わたし、泣きながら寝てたの?

わたしは涙に濡れた指先に視線を落とした。

心が砕けてしまってから泣き方を忘れ、涙が出なくなってしまっていた。

でも、わたし、、、また泣けるようになったんだ。

わたしは笑いながら、涙を流した。

「わたし、泣いてる。涙が、出るようになりました。」

そう言って喜ぶわたしに、優作さんは「良かった。心が少しずつ回復してきたようだね。」と言い、わたしと一緒に喜んでくれた。

感情を失っていたわたしは、少しずつ人間に必要なものを取り戻せてきている実感を得られてきていた。