涙の向こう側


そして、優作さんが出勤した後、わたしは"生きる"選択に導いてくれた優作に恩返しとまではいかないが、何かしたいと思い、普段カロリ◯メイトしか食べていない優作さんにお弁当を作って持って行こうと思った。

自宅は駅近の為、スーパーもすぐそばにある。

わたしは食費として使って良いと言われているお財布を持ち、スーパーで食材を買い、2キロのお米を買って帰宅した。

ご飯は早炊きにして、おかずには玉子焼きとピーマンとベーコンの炒め物、ウインナーを焼いて自宅にあったタッパーをお弁当箱代わりに白米とおかずを詰め込んだ。

優作さんの休憩時間は多分、14時頃。

その時間を目掛けて、わたしは優作さんのクリニックに向かった。

クリニック内に入ると、休憩時間になり受付を一時的に閉めようとして居た黒木さんと篠宮さんが"あれ?"というような表情でこちらを見たので、わたしは受付に近付くと小声で「先生にお弁当届けに来ただけなので、すぐ帰ります。」と伝えた。

2人はニコリと笑うと「わかりました。」と言い、わたしは奥にある優作さんの休憩室に向かった。

わたしが休憩室をノックすると、中から「はい。」と優作さんの声が聞こえてきた。

わたしは「失礼します。」と言いながら、休憩室のドアを開ける。

すると、そこには丁度カロリ◯メイトの箱を開けようとしていた優作さんがソファーに腰を掛けていた。

「あれ?笑莉さん。どうしたんですか?」
「突然すいません。実は、お弁当作って持って来ました。」
「えっ?お弁当?」

そう言って驚く優作さんに、わたしはタッパーに詰め込んだお弁当を手渡した。