涙の向こう側


そして、その日の夜。

わたしはリビングのソファーに横になり、毛布を掛けて、もういつでも眠れるくらいの睡魔に襲われていた。

すると、先に寝室に入って行った優作さんの声が聞こえてきた。

何か話してる。電話?
いや、寝言?

わたしは気になり、優作さんの寝室の方にそっと歩み寄って行ってみた。

優作さんの寝室のドアは開いており、中を覗いてみると、優作さんはベッドに横になり眠っているようだった。

寝てるよね、寝言だったのかなぁ。

そう思い、ソファーに戻ろうとした時だった。

「ふみか、、、」

優作さんの寝言だ。

ふみか?奥様の名前かなぁ?

「ふみか、行かないでくれよ、、、」

悲しい優作さんの寝言に、わたしはつい優作さんの寝室に足を踏み入れた。

そして、優作さんの寝顔を覗き込んでみると、優作さんは涙を流しながら眠っていたのだ。

優作さんは医師だし、毎日優作さんを頼って患者さんが来院する。

優作さんは自分の心を休ませる時間なんて無いんだよね、、、

それなのに、毎日患者さんと向き合って、、、わたしにも優しくしてくれて、、、

わたしは、優作さんの寝言と涙に心が締め付けられたのだった。