涙の向こう側


わたしは小倉さんの話を遮らないように気をつけながら、小倉さんの中に溜まりに溜まった悲しい言葉たちを受け止め、メモをしていった。

そして、問診が終わると一度待合室の方で待っててもらい、次は優作さんの診察に入る。

わたしは問診表と自分が書いたメモ書きを診察室に居る優作さんに渡しに行くと、優作さんは「ありがとう。」と受け取ってくれた。

わたしは処置室に戻ると、椅子に座り、緊張の糸を解いた。

とりあえず、自分の役目は果たした。
いや、果たせたのかな?
大丈夫だったかな?

「小倉さーん、診察室へどうぞ。」

診察室の方から、小倉さんを呼ぶ優作さんの声が聞こえた。

それから小倉さんは、診察室に入って15分程で出てきた。

大丈夫だったかなぁ。

そう思っていると、処置室に優作さんがやって来て、「問診表の入力、お願いします。」と先程の問診表をわたしに差し出した。

「はい、分かりました。」
「吹田さんのメモ書き、分かりやすかったです。小倉さんも"看護助手さんにたくさん話を聞いてもらえて、少しスッキリした"と言っていましたよ。」
「え、本当ですか?」
「はい。やっぱり看護助手を吹田さんに任せて正解でした。」

優作さんはそう言って微笑むと、親指を立てて見せ、それから診察室へと戻って行った。

わたし、役に立てたってこと?
こんなわたしが、、、

わたしは嬉しさに浸りながら、問診表に書かれている情報をパソコンに打ち込んでいき、自分の居場所のような、自分の使命のようなものを見つけられた気がしていた。