そして、10時20分頃。
処置室のパソコンをいじっていると、篠宮さんが入って来て、「吹田さん、新規の小倉さんがいらっしゃいました。準備出来たら、呼んであげてください。」と伝えてくれた。
わたしが「分かりました。」と言うと、篠宮さんはわたしに向けて「ファイト」の意味を込めてなのか、ガッツポーズをしてから受付へ戻って行った。
わたしは問診表を用意し、深呼吸をした。
大丈夫、大丈夫。
優作さんは、話し相手になるつもりで大丈夫と言っていた。
そして、わたしは処置室から顔を出すと、「小倉さん、どうぞぉ。」と待合室に向けて声を掛けた。
わたしの呼び掛けに「はい。」と立ち上がったのは、30代くらいの女性だった。
「どうぞ、中にお入りください。」
わたしがそう促すと、小倉さんは控えめな感じで「失礼します。」と中に入り、手前の椅子に腰を掛けた。
わたしは机を挟み、小倉さんの向かいに座ると「看護助手の吹田と申します。よろしくお願いします。」と言った。
「よろしくお願いします。
「では、まず、こちらの問診表の記入をお願いします。分かる範囲で大丈夫なので。」
「はい、分かりました。」
そう言って、問診表を記入していく小倉さん。
その小倉さんの手は少し震えていて、記入しづらそうだった。
きっとその手の震えも症状の一つなんだろうなぁ。
そう思った。



