「先生、着替えてきました。」
わたしがそう声を掛けると、優作さんはパソコンを見ていた視線をこちらに向けた。
「おぉ、いいですね。似合ってますよ!」
「何か、照れますね。」
「吹田さんは元々が柔らかい雰囲気だから、スクラブを着てもキツい印象にはならないですね。」
優作さんはそう言うと、「それじゃあ、今日やる事の説明をしますね。今日1人目の患者さんは、ずっと通院している患者さんなので、吹田さんは特に何もしなくても大丈夫です。吹田さんの出番が来るのは、2人目の患者さんが来た時です。新規の患者さんなので、問診表を記入してもらって、それから話を聞いてあげてください。それが終わってから僕が診察に入る、という感じです。」と説明してくれた。
わたしの業務は、新規の患者さんに問診表を記入してもらい、話を聞くこと。
その後、問診表や患者さんから聞いた話をまとめてパソコンに打ち込むこと。
あとは、カウンセリングを希望する患者さんが出た時に話を聞いてあげること。
大体の業務はこの3つらしい。
あとは、疲れたり体調が悪くなってきた時は、無理せずに優作さんの休憩室を使って良いと言われた。
そして、いよいよ診療時間開始となる。
10時になり、早速1人目の患者さんが入って来た。
でも、まだわたしの出番ではない。
わたしはドキドキしながら、処置室にあるパソコンを前に2人目に来る患者さんの問診表を打ち込む準備をしていた。
どうしよう、緊張してきた、、、
すると、黒木さんが「吹田さん。」と声を掛けに来てくれた。
「あまり緊張しなくて大丈夫ですよ。分からないことがあれば聞きに来てください。」
黒木さんはそう言いニコッと優しく微笑むと、受付に戻って行った。
黒木さん、優しいなぁ。
わたしが緊張しているのに気付いて、声を掛けに来てくれたんだ。
大丈夫、大丈夫。
わたしは自分にそうおまじないをかけるように何度も繰り返し、自分に言い聞かせた。



