涙の向こう側


「俺の日課なんだ。朝日を見ながら、珈琲を飲むの。」
「先生、お洒落な事してるんですね。」

わたしがそう言うと、上谷先生は「先生じゃなくて、優作でいいよ。」と言った。

「じゃあ、仕事の時以外は、優作さんと呼ばせていただきます。」
「じゃあ、俺は笑莉さんって呼んでもいいかな?」
「はい、もちろん。」
「じゃあ、早速。笑莉さん。初出勤はいつからにしますか?」
「え、今日から行くつもりで居たんですけど。」

わたしがそう言うと、優作さんは「大丈夫?もう少し、落ち着いてからでもいいんだよ?」と言ってくれたが、わたしは「いえ、大丈夫です。優作さんの助手として、今日から頑張ります。わたしでお役に立てるなら。」と言った。

すると、優作さんは「頑張らなくていいんだよ。いつもの笑莉さんのままで居てくれれば。」と言ってくれた。

「はい、、、分かりました。」
「じゃあ、今日からよろしくね。笑莉さん。でも、無理は禁物だよ?体調が悪くなって来たら、すぐに休む事。いいね?」
「はい、分かりました。よろしくお願いします、優作さん。」

わたしたちはそう言い合い、何気なく微笑んだ。

「あ、笑莉さんが笑った!笑った方が素敵だよ?」
「えっ、いやいや、そんなことないです。」

微笑んでしまった事に照れてしまったわたしは、目の前に広がる景色を見て誤魔化した。

わたしは、今笑えたの?

久しぶりに顔の筋肉を使ったのではないかという程、わたしはこの半年間、無表情だったと思う。

明人、、、わたし、もう少し生きてみるね。