涙の向こう側


「そういえば、さっきわたしにお願いしたいことがあるって言ってましたけど、、、。」

わたしはそう言うと、烏龍茶を一口飲んだ。

「あぁ、うん、そうなんだ。」
「何ですか?」
「無理にとは言わないけど、吹田さんにうちのクリニックで俺の助手をしてもらえないかなって思って。」
「えっ?わたしがですか?」
「うん、そんな難しいことはないよ。患者さんの話を聞いてくれるだけで大丈夫。」
「患者さんの話を聞く?」

わたしがそう言いながら、カロリ◯メイトを噛じると、上谷先生は「うん、難しくないでしょ?」と言った。

「心療内科に来る患者さんたちは、たくさんの悲しみやストレス、色んな悩みを抱えた人たちがやって来る。患者さんたちは、その話を聞いて欲しい人たちばかりだ。吹田さんには、その患者さんたちの話を聞いて、箇条書きで良いからメモを取って欲しい。」

上谷先生はそう言うと、カロリ◯メイトを頬張ったあとすぐに烏龍茶を一気に飲み干していた。

「はい、分かりました。でも、、、何でわたしを助手に?」
「吹田さんは、人の痛みが分かる人だから。患者さんたちは、心に傷を負った人たちばかりだ。だから、話を聞いてくれる人が共感してくれているのか、ただ話を聞いてるだけなのか敏感に感じ取ってしまう。吹田さんなら、患者さんの心の痛みを分かる人だから、カウンセラーとまではいかなくても問診に向いてるんじゃないかと思って。」

上谷先生の助手、、、

わたしにそんな大切な仕事が務まるんだろうか、、、

わたしがそう不安に思っていると、上谷先生はまるでわたしの心を詠んだかのように「仕事だと思わなくていい。ただ、患者さんの話し相手になるつもりで聞いてくれれば大丈夫だから。」と言ったのだった。