私は西条遥と名乗る男に拾われた。
何故、私を拾ったのかは分からない。
母の執着から逃れる事は出来たものの、これから私はどうすればいいのだろう…
彼、西条は私を拾ってどうしたいのだろう。
まさか私をう…………。
うん、この先は考えないでいよう。
怖くて考えたくもない…。
そうしていると、西条が部屋に入ってきた。
「おーい。大丈夫?…これ飲める?」
「え、うん。ありがと」
と、私にココアが入ったコップを渡した。
「それで、キミはあの時どうしてあそこに居たの?」
「えっと…。家出、みたいな感じ…」
彼はそっかと言うと、
「それならここにいればいいよ。生活も自由にしていいからね」
「でも、迷惑になってしまうんじゃ」
「…キミ、名前は」
「…雛乃」
「雛乃か…。雛乃は帰る場所あるのか?」
「……一応、ある。けど…帰りたくない」
「…雛乃さえ良かったらうちにいればいいよ。別に迷惑だとか思っていないから」
私は彼のその言葉に甘えて、お世話になることにした。
「…これから、よろしくお願いします」
「それで…遥くんでいい?」
「いいよ」

